ブックタイトルならやま2023年春号

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概要

ならやま2023年春号

奈良教育大学で学ぶESD特集SDGsの推進の中での教育の役割榊Sustainable developmentの中の「持続可能性」とは、人類社会と地球生態系が健全性を保ち、脈々と存続できるということだと捉えています。特に、水や食料を皆に行き渡らせ、国の内外で戦いのない状況をつくり、保つことなどが重要ですが、それらを可能にするのに最も有効な要素は、学びの場、つまり教育だと思います。今の社会や環境の状況を決めているのは人間ですが、人間には生死があり、毎年、少しずつ入れ替わりが進みます。多くの知恵を持つ高齢者が亡くなり、知識がゼロの人間が生まれてきますから、仮に教育がなかったらどんな状況になるか考えてみてください。教育がよく機能し、次世代に知恵が伝わり、賢明さと責任感を持った人たちが次々と生まれて、はじめて社会は維持されるわけです。私は、高校時代に米国に留学し、1963年7月ホワイトハウスでケネディ大統領の演説を聞く機会があり、「あなたがたは戦争を経験しないで人生を送ることができる人類史上稀な世代になるかもしれない」という話があったことを覚えています。戦いのない世界を保つことの大切さと困難さを再認識しました。近年、国際関係が各所でこじれていますが、良好な関係を築き、平和を保てるか否かは中澤各国での教育とそれが影響する世論に大きく依存します。ESDによる貢献を心から期待しています。東大寺や春日大社もそうなんですが、放置したままでは受け継がれていかないですよね。数百年という長い年月の中で、たくさんの人々の受け継いでいこうという思いや動きがあったから残っているのであって、これから先も、受け継ぐ人がいなくなったら壊れてしまいます。ですから、継承といった取組みを実際にされている人と子どもたちとを出会わせることが大事だと思っています。その方々がどういうふうな気持ちでやっているのかということを、子どもたちに直に語っていただくんです。ほんものから学ぶことで、子どもたちは感動してくれて、自分もあんなふうになりたいなと、ロールモデルですね。そういった体験を通じて、子どもたち自身に、自分の生き方やこれまでやってきたことを振り返って、目標をもって進んでいってもらえたらと思います。先生方にはそういったことを考える機会をつくってあげてもらいたいですね。奈良という環境だからこそ学べるSDGs榊川田奈良での学生生活では、神社仏閣を含めて様々な文化的な遺産に触れる機会がほかの町の場合よりも恵まれていると思いますが、川田さんと田中さんはどう思いますか?私は地元の香川から奈良に出てきたので、ランニングコースとして東大寺の中を通ったりするたびに、その貴重さを改めて実感します。アルバイトでは観光ガイドをしているので、修学旅行生に解説をしながら一緒に歩いたりもしています。田中他にも、春日若宮おん祭りの御渡式を夜の9時に大学に集合して朝の2時ぐらいまで見たこともありました。立地もあって、奈良の文化と接する機会は多いと感じています。私も中澤先生の『ESDと世界遺産』という授業で春日大社や東大寺にフィールドワークに行った時に感じるものがあって、今はアルバイトで春日大社の巫女をしているんです。1963年7月ホワイトハウスケネディ大統領の演説ESDと世界遺産AFSの交換留学生(7期生、8期生、9期生)は、1961年から63年の間、ホワイト・ハウスに招かれ、ケネディ大統領のスピーチを聴く機会を得た。1962年10月のキューバ危機ではケネディは平和の尊さを訴えた。ダラスでのケネディ暗殺事件は、1963年11月22日。大学キャンパスは、東大寺、春日大社、興福寺、元興寺、春日山原始林など、1998年にユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」に登録された文化遺産に囲まれています。これらの人類の遺産は、偶然残ったものではなく、それを文化として受け継ぐ人々によって守られ今に至っています。それらを学びの対象として、持続可能な社会の構築について探究しようとしています。SPRING 2023ならやま_4