ならやま春号

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クローズアップ本学教員の研究を詳しく紹介世界遺産を切り口としたESD(持続発展教育)ESDを学ぼう「ESDという言葉を聞いたことある方は挙手してください」と講演会で尋ねても、3年前までなら、シーンと北風がふ....

クローズアップ本学教員の研究を詳しく紹介世界遺産を切り口としたESD(持続発展教育)ESDを学ぼう「ESDという言葉を聞いたことある方は挙手してください」と講演会で尋ねても、3年前までなら、シーンと北風がふいていました。でも、最近は5人に1人は手が挙がります。よかった。そういう私も、本格的にESDに取り組み始めたのは5年前、教育委員会で世界遺産学習を担当していた時です。ESDというのは、Education for SustainableDevelopment(持続可能な開発のための教育、持続発展教育)というもので、持続可能な社会の担い手を育てるための教育ですといっても、なかなかピンとこない方が多いので、「ESDとは『ええやん。それ、どう?』と訳します」と言ってみましたが、大阪以外では全く受けませんでした。持続可能な開発とは「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」とされています。簡単に言うと、将来の人々が困るような環境破壊をすることなく、同時に現在の人々の豊かな暮らしを守るということでしょう。例えばエネルギー問題。原子力発電によって作られた電力による快適な生活を楽しむ一方で、核のゴミを数万年先の子孫にまで押しつけることは、世代間の公正という視点から見てどうでしょう。またアフリカや南アメリカのコーヒー農家の生活をつぶしながら、一杯のコーヒーを楽しむことは、世代内の公正という観点から公正な行いと言えるでしょうか。この世代間の公正と世代内の公正が、ESDで養う持続可能な発展に関する価値観です。なんだか急に難しくなってきましたね。私の恩師である田渕五十生先生(本学名誉教授)は、「難しいことを難しい言葉で語るのは二流の学者、難しいことを簡単に伝えるのが一流、そして簡単なことを難しく話すのが三流」とおっしゃっていました。気になります。「いやいや、これくらいよくわかるよ。」と読んでくださっているあなたは優しい方です、が、それだけではだめなのです。ESDでは理解するだけでなく行動の変革を目標としています。つまり、行動化できるように教育を行うことが求められています。しかも、ESDは新しい学習指導要領に入っており、これから教員になろうとしている学生諸君、現在教職についておられる先生方には、ESDを指導できることが必須の条件となってくるはずです。ESDで育みたい力が明示されていますから、紹介しておきましょう。持続発展・文化遺産教育研究センターなかざわ専任講師中澤しずお静男プロフィール専門は、ESD(持続可能な開発のための教育)、世界遺産教育。立命館大学文学部史学科卒、奈良教育大学大学院修士課程修了。公立小学校教員として23年間、社会科を実践的に研究。奈良市教育委員会指導主事を5年間。著書に『人生設計能力を育てる社会科授業』(共著:黎明書房)、『人生設計能力を育てる市民性教育』(共著:教育開発研究所)、『奈良大好き世界遺産学習』(共著:奈良市教育委員会)ESDの授業方法をヴィゴツキーから研究している。捕鯨についての関心も高い(もちろん捕鯨賛成派)。よく叫ぶ言葉:「授業はライブだ」「そんなのESDじゃない」「ええやん。それ、どう?(ESD)」座右の銘:「ぼうふらや蚊になるまでの浮き沈み」林家三平(落語家)ユネスコクラブ顧問剣道四段パルミラにてSPRING 2012ならやま_12