ならやま夏号

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3「科学の日」プロジェクト事の起こりは附属幼稚園の卒園遠足の行事でした。園を旅立つ年長さんを送り出すイベントの一つで、全園児が一緒になって大学内へ繰り出し、様々なところで体験的な学習を行います。理数教....

3「科学の日」プロジェクト事の起こりは附属幼稚園の卒園遠足の行事でした。園を旅立つ年長さんを送り出すイベントの一つで、全園児が一緒になって大学内へ繰り出し、様々なところで体験的な学習を行います。理数教育研究センターもこの行事に参加してきました。理科棟内の実験室で、普段幼稚園ではできない理科実験を行います。例えば、液体窒素で凍らせたバナナで釘を打ったり、薔薇の花を粉々にしたり、段ボールに穴をあけて空気砲を作り見事な煙の渦輪を発生させたりと、大騒ぎの実験です。160名近い園児たちが入れ替わり立ち替わり来襲し(失礼)、学部生、院生、教員が一丸となって対応するという実にタフなイベントです。毎日、園児たちに接している幼稚園の先生方には頭が下がります。こうしたドタバタの中の随所で感じたのは、子どもたちは思った以上に「理解しようとする」点です。なんでバナナで釘を打てるのか?きれいな渦輪を作るにはどうしたらよいのか?一通りの騒ぎが収まると理由を求めようとします。おそらくDNAレベルでプログラムされた好奇心がむくむくと顔を出し、「なぜなぜ攻勢」が始まります。これを発端に新しい試みを開始しました。「科学の日」プロジェクトです。附属幼稚園の年長さんを中心に、理数教育研究センター企画の科学イベントを実施しようというものです。第1回目として、5月18日に金環日食勉強会を行いました。21日に奈良市では282年ぶりとなる金環日食が観測できたのですが、それを目前に、金環日食が起こる仕組みについて本学の理数教育プログラム参加の学部生・院生及び有志が寸劇によって解説を試みました。太陽さん、地球さん、お月さんが舞台を走り回り、天体の織り成す妙技に挑みました。さらに、保護者を対象として本学地学教室の和田穣隆教授による解説を行いました。このプロジェクトには、もう一つ大きな意義を期待しています。子どもたちの前で我々は全ての専門用語や数式を封じられます。得てして、我々は専門用語一言で分かっているような気になっています。でも本当でしょうか?知識として獲得した衣服をすべてはぎ取られ丸裸になります。子どもたちのわかる言葉で、わかる理屈で本質を伝えなければなりません。これは本当にその現象を深く理解していなければできない超高難度のミッションです。その体験は、将来、教師になっていく学生らに相当のインパクトを与えます。究極の授業評価かもしれません。今後、「科学の日」プロジェクトは、継続的に実施される予定です。4おわりに最後に一言。子どもたちは思っている以上に科学者です。その瞳が好奇心で輝くことを願っています。金環日食勉強会の様子。世紀の天体ショーに向けて理解を深めました。9_SUMMER 2012ならやま