ならやま2012年秋号

ならやま2012年秋号 page 13/24

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いて、いま学校で必要なことは何か?わが国のいじめの特徴について、これまでに明らかとなった知見を紹介します主に次の4点です。1同じ学級のなかで起こりやすい2長期間、しつこくいじめられやすい3いじめっ子といじ....

いて、いま学校で必要なことは何か?わが国のいじめの特徴について、これまでに明らかとなった知見を紹介します主に次の4点です。1同じ学級のなかで起こりやすい2長期間、しつこくいじめられやすい3いじめっ子といじめられっ子との人間関係の結びつきが強い4学年が上がるとともに、傍観者は増え続け、仲裁者は減り続けるこれらの知見は、森田ら(2001)によるいじめの国際比較研究から得られたものです。しかも、いじめはどの国でも起こっていることが明らかとなりました。特に、このなかで気がかりなのは4番目です。(図1)同調査から少し年月が経っていますが、この現況は今もほとんど変わっていません。不正義ないじめに立ち向かい、子どもたち自身でいじめを解決する力を育んでいくことが緊急の課題です。わが国の子どもたちの現状を見たとき、これからの社会を担う存在となれるのか心許ない気持ちがしてなりません。オランダやイギリスでは、中学校期の難しい時期に、傍観者は下げ止まり、仲裁者は上昇に転じています。イギリスではシティズンシップ教育を学校教育に導入し、正義を実現するため義務と責任をどのように果たしていくか、具体的に教えています。そのひとつが、ピア・サポート(子ども同士による助け合い活動)の導入です。ま図1各国の仲裁者と傍観者の比率た子ども同士によるトラブル解決のスキルとして、ピア・メディエーション(子ども同士による調停)の手法も学校教育に導入しています。次に、いじめの介入視点についてまとめて示します主に次の5点です。1いじめは、子どもの心に甚大な影響を及ぼすいじめは、心的外傷を引き起こす要因となります。この理解が乏しいと、問題解決への強い動機づけにはなりません。いじめは虐待と同じく長期反復性の外傷性障害を受けたのと同じです。ノルウェーの犯罪社会学者オルヴェウスは、いじめは虐待の一種で「同輩による虐待である」と述べています。プロフィール教職開発講座いけじま教授池島とくひろ徳大専門は、いじめ・不登校などの学校教育臨床、生徒指導、学校カウンセリング。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学校教育学)、臨床心理士、学校心理士。奈良県公立小学校、奈良県立教育研究所、国立教育会館学校教育研修所(現、独立行政法人教員研修センター)等を経て、奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター助教授。現在、同大学院教育学研究科専門職学位課程(教職大学院)教授。公立小学校教諭時代に、「いじめ克服への取り組み?学年教師による心理劇活動を通して?」で、第34回読売教育賞児童生徒指導部門最優秀賞受賞(昭和60年7月)。現在、いじめ問題の解決に向けて、予防的・開発的生徒指導の視点に立つ、子ども同士の人間関係の形成を図るピア・サポート及びピア・メディエーション(仲間による調停)の学校教育への導入に関して、積極的に実践研究を行っている。『クラス担任によるいじめ解決への教育的支援』(日本教育新聞社)〈著書〉(※1)単著「クラス担任によるいじめ解決への教育的支援」日本教育新聞社1997(※2)監修・著「ピア・サポートによるトラブル・けんか解決法!指導用ビデオと指導案ですぐできるピア・メディエーションとクラスづくり」ほんの森出版2011他昭和60年6月25日(読売新聞奈良版)『ピア・サポートによるトラブル・けんか解決法!』(ほんの森出版)AUTUMN 2012ならやま_12