ならやま2012年秋号

ならやま2012年秋号 page 15/24

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『ひと・あれ・これ』(『万葉集』巻十一八七二作者未詳)開咲き艶にほへ者るは櫻花鴨桜花かも春日之野邊尓春日の野辺に霞霞立ち見見渡わたせ者ば奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事ひがしばたともこ東畠智子....

『ひと・あれ・これ』(『万葉集』巻十一八七二作者未詳)開咲き艶にほへ者るは櫻花鴨桜花かも春日之野邊尓春日の野辺に霞霞立ち見見渡わたせ者ば奈良県教育委員会事務局学校教育課指導主事ひがしばたともこ東畠智子さん(平成2年3月奈良教育大学中学校教員養成課程国語専攻卒業平成16年3月奈良教育大学大学院教育学研究科国語教育専修修了)―活躍する卒業生を紹介―現在、私が勤務する奈良県庁のすぐそば(奈良県庁東交差点北東)に、この歌の歌碑があります。いつからここにあったのか、この歌碑の存在に気付いたのはつい最近です。大学までこの地で暮らし、東大寺や興福寺、新薬師寺、奈良公園などを身近に過ごしてきた私には、この小さな出来事が新鮮で、改めて郷土を発見する機会となりました。私は平成2年に奈良教育大学を卒業し、県内のへき地の中学校に赴任しました。大学では、詩人西脇順三郎『Ambarvalia』を卒業論文のテーマに選び、大河原忠蔵先生のご指導を仰ぎました。詩を素材に「こんな授業をしたい」という思いをあたため、最初に赴任した中学校では、さまざまなことにチャレンジさせていただきました。その後、奈良市内の中学校に異動し、数年を過ごす中、もう一度、国語科教員としての力量を高めたいと、平成14年に奈良教育大学大学院に現職教員として長期研修に行かせていただくことになりました。大学時代を知ってくださっている先生方にあたたかく迎えていただきながら、棚橋尚子先生や松川利広先生にご指導いただいたことは、現在に至るまで私の財産となっています。学校をめぐってはさまざまな課題がありますが、私は、自分の授業力を磨き、魅力ある国語の授業づくりをすることで、生徒理解を深め、生徒の言葉の力を高め、豊かな感性を育てたいと思っています。社会はめまぐるしく変化しています。よく、不易と流行といわれますが、不易に胡座をかくことを戒めつつ、時代の要請に応える教育の在り方を考える必要があると思っています。奈良県は、地域の教育力を高め、地域ぐるみで奈良県の子どもたちの育ちを見守り、教育課題の解決につなげようとしています。保護者や地域の方々が学校の教育活動に参画する取組も増えてきました。同時に、子どもたちが郷土を知ることや、郷土のよさを実感し愛着をもつことも大切なのではないかと思います。前掲した歌碑など、郷土を再発見する一つの材料となるでしょう。国語科教員としては、郷土の再発見に『万葉集』や郷土に伝わる昔話・伝承を取り上げることは、探究心が大いに刺激されるところです。AUTUMN 2012ならやま_14