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平成26年度実績報告

中央教育審議会が提起する「教員養成の高度化と教職生活全体を通じた学びを継続的に支援するシステム」をリージョナル・レベルにおいてモデル構築することを目指し,京阪奈三教育大学連携推進協議会の下,各大学に設置した「教員養成高度化連携拠点」における活動を中心に事業を進めるとともに,本年度より,京阪奈三教育大学教育連携推進事業として平成24年から実施してきた双方向遠隔授業の取組みを本事業の一環に位置付けて展開している。

 

○ 「教員養成高度化連携拠点」における連携事業の継続実施

 三教育大学それぞれに設置した教員養成高度化連携拠点センター(「教職キャリア高度化センター」「教員養成高度化センター」「次世代教員養成センター」)での取組みのうち,以下の6つのプロジェクトを中心に三教育大学が連携して取り組むこととし,主幹大学以外の2大学から連携協力者を加え,各プロジェクトを進めている。

  ・ 現職教員のための修士レベル対応学修プログラムの共同開発(京都教育大学)

  ・ 博士養成モデルプログラムの共同開発(大阪教育大学)

  ・ 博士人材向け教員能力開発プログラムの研究開発(大阪教育大学)

  ・ 双方向遠隔授業を取り入れた教育課程の連携(奈良教育大学)

  ・ ICT支援員養成・ICT活用サポート研修の共同実施(奈良教育大学)

  ・ スクールサポーター等・教育支援人材認証制度の共有(奈良教育大学)

 

 

○ 各大学での「教員養成高度化連携拠点」における活動

「教職キャリア高度化センター」において,以下の取組みを行った。

  1. 初任期教員の実践的指導力アップを支援するため,「京のせんせいポートフォリオ」システムを構築した。10月から試行期間をスタートするため,8月から京都府・市教育委員会への説明及びシステムの利用(今年度は,100名を募集)についての依頼を開始した。京都府・市教育委員会の協力により,103名の教員が活用することとなった。1月上旬に35名の教員から指導案の提出があり,提出された指導案に対して2月末日までに当該分野の大学教員が価値付け(コメント)を行い,3月下旬に利用者の間で公表した。また,3月28日(土)に,利用者同士及び大学教員との交流会を開催した。
  2. 現職教員が日々の授業や日常業務を遂行しながら,現代的な教育課題とその対応(学校経営・特別支援教育)等を学ぶことができるプログラムの開発に取り組んだ。その第一弾として12月から「先生を“究める”Web講義」と題し,昨年度に撮影した教育の基礎理論(教育哲学,教育社会学,教育心理学,学校経営,特別支援,教師教育等)に関する講義動画Web教材コンテンツ(8講義)を公開した。12月中旬に,京都府・市教育委員会への説明及び利用についての依頼を開始し,視聴希望者を随時受け付けて約80名の登録があった。さらに,新規にコンテンツ(8講義)の撮影を行い,追加して公開した。
  3. 卒業生・修了生のフォローアップを行うため,現在,学生課が集約しているメールアドレスを活用して,フォローアップ・フィードバックシステムの構築に取り組んだ。卒業生・修了生へ大学の現状,公開研究会等の情報,学校現場の魅力等を発信し,またメンタルヘルスケアの施策に活用するとともに,各種アンケート調査等により卒業生・修了生から情報をフィードバックする仕組みの確立を目指している。卒業生・修了生からの情報フィードバックは,教師教育のカリキュラムやシステムの改善等に活かし,将来的に教師教育の質向上につなげる。
  4. 学校経営改善講座を開催し,京都府総合教育センターとの連携8講座については約400名,京都市総合教育センターとの連携5講座は約450名の受講者となった。京都府・市の各総合教育センターが行っている研修企画に引き続き参画し,連携講座として開設するため具体の企画(開設日時,講師,内容等)について,両教育委員会と調整した。なお,次年度からは大学主催の2講座についても連携講座とし開催することとなった。
  5. 特別支援教育に関する研修を企画実施した。これらの研修は,学校現場からの要望も多くあり,平成27年度から,京都府・市の各総合教育センターが行っている研修企画に参画して,具体の企画(開設日時,講師,内容等)について,両教育委員会と調整し連携講座として8講座を開設することで合意した。

 

「教員養成高度化センター」において,以下の取組みを行った。また,ICT教育の向上に向けて昨年度設置した「ICT教育支援ルーム」での取組みを進めた。

  1. 大学・大学院授業の実践教材として,附属学校園においてデジタルライブラリーの素材収集を行った。
  2. 教員養成の高度化に関する海外先進事例調査を実施した。
  3. 大阪府・大阪市教育委員会と2つの国立教職大学院の連携協力のもと,大学と附属学校が協働して「スクールリーダー・フォーラム」を開催した。
  4. 教育実習の更なる質保証と説明責任を果たすことを目的に導入した学生のパフォーマンス評価を全附属小・中学校に拡大し,学部III回生配当の基本実習における本格導入に向けた試行・点検を継続実施した。
  5. 教育実習において,学生のパフォーマンス評価のエヴィデンスを電子媒体で作成・蓄積し,実習中においても,大学の教育実習指導教員や学校現場での指導教員と情報を共有できる機能を備えたソーシャルネットワークシステム「スマートフォリオ」を構築し,附属学校での試行を行った。
  6. 高度理系教員養成プログラムで協定している研究重点大学院の連携先と受講対象の拡大に向けて取り組んだ。

 

「次世代教員養成センター」において,その趣旨と目的を踏まえ組織改革を行い,平成26年度からは「情報教育部門」「ESD・課題探究教育部門」「情報基盤部門」の3部門を設置し,ICT等を活用した教育指導力,課題探究力を持った教員を養成する体制を整備するとともに,以下の事業を実施した。

  1. 双方向遠隔授業システム等を導入した次世代型模擬授業教室の運用の実施
  2. 研修支援サイトを活用した教員研修支援,ICT活用支援員の育成支援の実施開始
  3. スクールサポーター等教育支援人材の研修認証制度の展開
  4. 先端的デジタル教材を活用した実践的教育の実施を開始 
  5. 次世代教員養成センターにおける実践的教育の実施を開始
  6. 次世代高度学習支援システムの試行運用開始

 

○ 双方向遠隔授業を取り入れた教育課程の連携システムの構築

 ここで取り組んでいる双方向遠隔授業は,各大学から提供された科目を自大学の教育課程内に位置づけ,提供科目は自大学で単位認定を行う新たな方式を導入したものである。提供科目の区分は教養科目を中心としつつ,各大学の特色や共通する教員養成上の課題に対応可能な科目等に拡大し,学生の幅広い教育に活用することで,全体の教育の質向上を図っている。

その具体的な実施状況としては,平成26年度には,前期9科目,後期17科目の計26科目であり,また,延べ受講者数でみると,前期で739名,後期で1,872名の計2,611名であった。なお,これを受信大学の受講者数でみると,前期204名,後期888名の計1,092名であった。このように多くの学生が自大学にいながら他の2大学の特色ある授業を受講できる環境を実現している。

 

○ 「事務システム」の連携等

 事務局機能に関する専門部会において,事務の合理化・効率化及び事務システムの合理化等について検討し,以下のことを行った。

  ・ 共同調達・契約事務について

  ・ 汎用システムの合理化について

  ・ 合同研修(SD研修)について

  ・ 図書館業務の連携について

 

○ 第2回京阪奈三教育大学教員養成・研修高度化事業推進フォーラムの開催

 連携拠点センターにおける活動状況,双方向遠隔授業システムの活用状況やその成果を広く公開することを目的として,昨年度に続く第2回フォーラムを平成27年3月2日に大阪で開催した。


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