平成25年度卒業・修了式を挙行しました。
Date2014/04/03
平成26年3月25日、奈良教育大学講堂において、平成25年度卒業式及び修了式を挙行しました。
長友恒人学長からは、「明日からも幅広く知識を吸収し、実践を通した学びを継続して、プロフェッショナルな社会人として成長することを期待します」とエールが送られました。
卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。
本学で得られたものを生かしご活躍されることを、心よりお祈りいたします。
【卒業・修了生】
- 教育学部 249名
- 大学院教育学研究科 81名 (修士課程67名、専門職学位課程14名)
- 特別支援教育特別専攻科 10名
告辞を述べる長友学長 式典前に友人との時間を楽しむ卒業生
■ 学長告辞
- 印象に残った授業はありましたか?
- 自らの学習は身についたでしょうか?
- 「学び合い」の学習はしましたか?
- 部活など、課外活動は楽しかったでしょうか?
- スクールサポートやボランティア活動は自分を成長させてくれましたか?
- 信頼できる友人はできましたか?
- 自分のどこが変わって成長したと思いますか?
大学での生活を振り返ってみると、特別の時を除けば、いつも他者との関わりの中で様々な活動のときを過ごしたことがわかると思います。他者との関わり、言い換えればコミュニティーの中で成長した大学生活です。
二人以上が集まればコミュニティーが形成されます。学問的に正確な定義は他に譲るとして・・・親しい友人・恋人同士は最小規模のコミュニティーでしょう。家族、学校、企業、地域、国家、世界へとコミュニティーは広がっていきます。幼かった頃から今日まで、家族、友人、学校、大学、というコミュニティーのなかで成長してきたみなさんは、明日から今までよりも遙かに広く複雑なコミュニティーのなかに身を置くことになります。
時間軸でコミュニティーの発展をみると・・・現生人類であるヒトは、その誕生から現在までに、他の動物には見られない、自分たちでもコントロールし難いほどの極めて複雑なコミュニティーを形成してきました。
その結果としての現在のコミュニティーの拡がりと構造は非常に複雑です。特に、政治・経済が絡むと、その複雑さは極めて深刻です。アフリカの現状やシリア、ウクライナ情勢を見るまでもなく、東北太平洋沖地震と福島原発事故後の日本、最近の近隣諸国との関係においての日本が置かれている状況は複雑であると同時に混迷を極めています。私は社会学者ではありませんから、コミュニティー論を展開するつもりはありませんが、みなさんが明日からその一員となる学校や企業などの身近なコミュニティーに限定して考えてみたいと思います。
(これからの話は教育を中心に話をしますが、その他の職場に就職する人や進学するみなさんにも共通していますので、言葉を置き換えて聞いて下さい)
学校コミュニティーを形成する人たちは、児童・生徒、同僚教師、上司である学校の管理職、保護者、教育委員会等ですが、近年はスクールサポーターや学校ボランティア、地域の人たちが学校コミュニティーの構成員として重要なファクターになっています。
明日からみなさんはそのコミュニティーの一員となりますが、コミュニティーのなかで必要なこと(資質・能力)は何でしょうか。
まずなによりも必要なことは専門的な力量です。教職の専門性と教科指導の専門的力量、どちらも教師の基礎を成す必須の専門性です。大学での学びが基礎になりますが、大学での学びが不十分であったとしても焦ることはありません。大学の限られた時間の授業ですべてを学ぶことは不可能だからです。大学では「学び方」を学んだはずです。その「学び方」を基礎にこれからも学び続けて下さい。壁にぶつかり、失敗しながらも新しい学びを発見できたと感じることできたら、みなさんのこれからの成長は保証されます。
2つ目に必要なこととして、広い意味での「リーダーシップ」を挙げたいと思います。集団を指導し牽引することだけが「リーダーシップ」ではありません。そのようなリーダーシップは経験を蓄積した教師にしかできないことです。では、若い教師のリーダーシップとは何か?佐藤学氏の「学びの共同体」論や池田寛氏の「教育コミュニティー」論に共通しているのは何か?それは、学校教育は学校という閉じた空間の中では完結できない、ということです。学校コミュニティーの一員として、コミュニティーの構成員を繋ぐ力、それが若い人のリーダーシップです。自分とこども達、自分と同僚教師、自分と保護者、こどもとこども、保護者と保護者、学校と保護者、学校と地域の人たち、といった多様な「繋がり」の関係を導く力が若手のリーダーシップです。そのために必要な技能のひとつが「コミュニケーション力」です。「コミュニケーション」の基礎は、相手の言動を理解する力です。「発信」する前に「受信」する力が重要です。
3つ目に必要なことは、「学び続けること」です。ハウツーものは当座の役には立ってもあなたの成長に役に立ちません。教養をベースにした学びを継続することが必要です。教養をベースとした学びは、他者から押しつけられて「勉強」するものではなく、自らの主体的な行為として「学ぶ」という点に特質があります。学びを継続する「コツ」は学びを楽しむということです。明日からの生活の中でも、ハウツーものやマニュアルものの向こうにあるもう一段高い学びを、楽しみながら継続していただきたいと思います。身についた知識、豊かな教養は自分を成長させ、他者を納得させる力を持っています。
最後に、評価の方法、人を見分ける力が必要です。言動、言と動、言葉と行動。ひとを評価するとき、何を言ったかではなく、どう行動したかを評価の基準にすべきです。知識さえあれば言葉としては表現できます。しかし、身についた素養の結果としての行動がその人の為人(ひととなり)を示します。結果を残すのは言葉ではなく、行動です。他者をみると同様に、あなた自身も言葉ではなく、自分の行動の変化によって成長を確認すべきことを念頭に置いて下さい。
以上、教師に焦点をあてて申しましたが、プロフェッショナルな職業人としてどの分野にも当てはまることであります。
世界的に著名な理論宇宙物理学者である佐藤文隆氏は、「科学が社会で権威とみなされているのは、産業、医療、安全、安心などの場面で存在感を発揮しているからである。」と述べておられます。
教育の問題は、誰でもが各人なりの意見を持っているという点でサイエンスとは異なりますが、教育が社会において存在感を示すためには教育のプロフェッショナルとしての教師の専門性と力量が問われます。
みなさんが、明日からも幅広く知識を吸収し、実践を通した学びを継続して、プロフェッショナルな社会人として成長することを期待します。
学びを楽しみ、学びを継続することによって、諸君の輝く未来が開かれることを信じて、告辞といたします。
平成26年3月25日 奈良教育大学長 長友 恒人
東北教育復興支援の取組について報告します。
Date2014/03/26
本学では、宮城教育大学教育復興支援センターと連携し、東日本大震災で被災した地域の学校等において、教育復興支援活動を行っています。
東北では少しずつ道路工事や宅地造成などハード面の復興は動き始めましたが、子どもたちはまだまだ支援を必要としており、今後も引き続き活動を行う予定です。
ここでは、平成25年度に実施した活動の概要と参加した学生のコメントを紹介します。
概要
第8次:平成25年8月3日~10日
宮城県丸森町の中学校でサマースクールや自学自習の支援
第9次:平成25年9月23日~29日
宮城県丸森町の小学校で授業補助
第10次:平成26年3月23日~29日
宮城県気仙沼市の小中学校で自習学習支援
参加学生メッセージ
東北教育復興支援に参加して 大学院(音楽) 朝田 真琴
宮城県内の小中学校に於いて、教員補助や自学自習支援として一週間ずつ延べ5回参加しました。
現地の子ども達は一見奈良の子ども達と変わらないように見えますが、ふとした瞬間に大震災のことを思い出してしまうことがあり、また、辛い思い出は心の奥深くにしまい込もうとしているので、常に寄り添う準備とそれをキャッチする感性が必要だということを強く感じました。感性が鋭い学生時代にそれらを磨くことはとても大事なことだと思います。
初めて参加した時は被災地を見てみたいという気持ちが大きかったのですが、被災地を見たら、見たものの責任として、次は私には他に何ができるだろうかと思うようになり、学内で協力を呼びかけ、児童書を集め、協力校に贈りました。
また、時間が経つとどうしてもニュースなどで取り上げられることも減っていきます。私は風化させてはならないと思い、行ける限りはボランティアに参加しようと思います。
それぞれ参加することへの想いは違うと思いますが、“行きたい”という気持ちは同じであり、そんな素晴らしい仲間に出会えるのがボランティアです。
現地の子ども達や先生方は本当に素敵な方ばかりで有意義な時間になることは間違いありません。ぜひ多くの学生に参加していただき、たくさんの方と触れ合い、肌で感じ、今後の学生生活に活かしてほしいと思います。
お問い合わせ
ボランティア・サポート・オフィス
TEL 0742-27-9366
国際交流イベント「酒蔵見学と大神神社を訪れよう」を開催しました。
Date2014/03/17
2月24日(月曜日)に、「酒蔵見学と大神神社を訪れよう!」と題した国際交流イベントを開催しました。
国際交流イベントは留学生と日本人学生に交流の機会を提供する目的で毎月実施しているもので、毎回様々な場所に出かけたり、活動を行ったりしています。
今回は、奈良県桜井市三輪にある日本酒の造り酒屋「今西酒造」で伝統的な日本酒の製造過程を見学し、日本最古の神社といわれている大神神社を訪ねました。
酒蔵見学では、お酒の香りが漂う中、酒米が日本酒になるまでの製造過程を見学しました。ご飯として食べる米の稲穂は、雨風で倒れにくいように背が低くなるような改良がされている一方、酒米は稲穂の背が高いという違いがあることなどを、実際に稲穂を示しながら案内してもらいました。見学の最後にこの酒蔵で造られた数種類のお酒を試飲し、参加者は酒の種類によって香りも味も異なる、日本酒の奥深さを感じていました。
酒蔵見学の後、三輪の街を歩き大神神社に向かいました。大神神社にある杉の木には、白蛇がいるとされており、参拝者が白蛇の好物とされる日本酒と卵を供える姿を、参加者は興味深そうに眺めていました。その後、三輪の街を見下ろせる大美和の杜展望台に移動し、ひときは目立つ大きな鳥居を見ながらそれぞれが交流を深めていました。
三輪駅までは電車の旅
江戸時代に建築された酒蔵には日本酒の香りが漂っていました。
大吟醸のフルーティな味にびっくりしていました。
日本酒の奥深さを知ることができ大満足の参加者。
参拝前に作法にそって手や口を清める。
お互いにお祓いをする参加者。
三輪の街を楽しみました。