コンピュータ利用のこれまでとこれから(次世代教員養成センター 伊藤剛和)

 身近なテーマについて教員に語っていただくリレーコラム。
 テーマは、引き続き「これまで→これから」
 奈良教育大学の教員のこれまでのあゆみ、そしてこれからの展望についてお話しします。

 

現在

 私の専門は・・・なんでしょうね。

 奈良教育大学に着任以来、研究室の場所は変わらずですが、所属する職場の名前は「情報処理センター」→「学術情報研究センター」→「学術情報教育研究センター」→「次世代教員養成センター」と変わりましたが、一環して、大学キャンパス全体の情報基盤の運用・管理を担う一員として活動しています。

 また、情報教育(教育工学)として、学校現場での児童生徒の情報活用能力(情報モラルも含む)育成の支援や、高校「情報」の教員養成、ICT活用に関する支援人材の育成なども活動しています。

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実習室風景

これまで

 高校卒業時は、家業の理髪店を継ぐか、京都市の青少年科学センタ―の職員を目指すかで悩み、京都教育大学の高校「理科」の教員養成課程に進学しました。

 大学生活の中では、通常の勉学やクラブ活動の他に、教育実践研究指導センターで出会った先生方のもとで、色々と学ぶ機会があり、趣味が高じて、学校現場で利用されるような児童向けの支援ツールの開発とかに関わったご縁で、卒業研究は「植物同定のためのエキ スパートシステムの開発」といった当時の人工知能分野でした。このころは、コンピュー タとの付き合い方は、やりたいことをプログラムで書いて実行させるというものでした。 一方で、文書作成や印刷に特化した「ワープロ専用機」というものも普及しはじめたころ でもありました。

 大学院は、先輩方が切り開いてくれた道を辿って、鳴門教育大学の教育方法コースにすすみました。このコースは、同期の 20 名中18 名が、全国から派遣されてきた現職の教師でしたので、学校現場での教育活動の悩みや展望などを知る機会でもありました。所属した研究室では、そのような悩みや展望を持った教師を支援するために、実践研究のための支援ツールの開発とか、教師教育のための遠隔教育システムの構築とか運用とかに関わって きました。

 この当時は、コンピュータやネットワークは使えれば便利なもので、興味がある人だけの ものでしたが、人の活動を支える可能性を秘めた存在として、社会や生活に広がりつつあ りました。代表的な使い方も広がりコンピュータ上で動作するプログラムも市販物が増え ました。そうしてくると、これまでの「コンピュータを使う=プログラムを作る」から「コンピュータを使う=(誰かが提供した)ソフトウェアを使いこなす」というイメージが主流をしめるようになってきたようです。

これから

 コンピュータが小型化・高速化し、既存の色々なモノに搭載されるようになったり、通信 でコンピュータ同士が協力してデータ等の処理することが容易になったりして、私たちの 生活の様々な場面に浸透してきました。スマートフォンやタブレットのように、役割が明 確化した商品となったり、車の自動運転やお掃除ロボットのようなカメラやセンサー等と 連携して動作する新たな製品も増えてきました。

 それらを受けて、2003 年度から高等学校で「情報」という教科が新設されました。今日ま でに、2 回の学習指導要領の改訂では、社会の中でのコンピュータの果たす役割の激変に 応じて、教科の内容や指導法なども変化してきました。

 私自身は、この高校「情報」の教員免許取得を支援する副免許プログラムの実施担当もし ています。各専修の副免許としての位置づけですので、教育学部に相応しく、小学校プログラミングとか、情報モラルとかも関連させつつ、小中高の系統的・体系的な学びとなる ように配慮するように取り組んでいます。 たぶん、これからも・・・

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3Dプリンタでの出力例

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プログラミング学習用ロボット

奈良教育大学 次世代教員養成センター 教授 伊藤剛和

※この記事は、2021年6月の情報を元に作成されています。

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