教職大学院授業紹介「学校組織とアカウンタビリティ」 公開日  :  2025-06-23 09:40

大学院専門職
学位課程

●担当教員

山内雅雄(実務家教員) 元奈良県立高等学校校長,奈良県立教育研究所所長

小林昇光(研究者教員) 専門:教育経営学,教育行政学

 

●科目を通じて育成しようとしている力

・学校組織マネジメントの理論と実践動向を理解し,学校或いは地域,教職員個々が抱える課題を組織マネジメントの観点から整理し,解決方法を提案する力。

・教育行政や学校経営等を客観的に分析し,教育課題解決につなげる姿勢。

 

●科目概要

 簡単に言えば,学校経営,組織マネジメントの基本理論と実践について学び,それをベースに今日的教育課題を発見し解決するための提案力を身に付ける科目です。

 学校では様々な課題が複雑化しその解決に向けて専門的なスキルをもつ教職員の育成が求められています。

 本授業では,学校組織のマネジメントスキルを高めるためには何が必要か,組織の目標を果たす上で教職員個人が担う役割は何かなどについて考えてきました。その上で,学校経営研究をはじめとした先行研究(学会誌,講座本等)や実践事例を踏まえた文献や資料を読み込むことで理論的・実践的に思考できる力を身に付けることに重点を置きました。

 また,実例を踏まえた学校経営過程,問題事例を分析・考察することで,実践性を高めることを意識しました。その際,現職院生を「ミドルリーダー」として措定し,ストレート院生と合同班を編成して,様々な課題解決学習に取り組みました。このような方法をとった理由として,近年における教員年齢構造の変化(ミドル層が少なく,若手層の急増)等があり,本学の現職院生も若手層の教員が多く,修了後は各地で学校のリーダー的位置についていきます。このため,学校組織を引っ張るミドルリーダーの育成,若手層に対するマネジメントの重要性の喚起を通して,「将来の管理職」育成も視野に入れた授業設計にしました。

 これらの学びを踏まえて,最終的には「魅力ある学校づくりの提案」と「今日の教育課題の発見と解決に向けての提案」を課題としてグループによるコンペティション形式のプレゼンを行い,説明力と批評力を養いました。

 授業で取り扱った主なテーマは,ビジョン設定・共有(学校教育目標等),組織マネジメント,リーダーシップ,地域連携,保護者対応,危機管理,多職種連携等です。ケースメソッド学習では,事前に出された回答を作成して,グループで共有,回答の整理を行うことで経営分析,問題分析,解決方策提案につなげることを意識して進めました。

 事前課題も多く,授業時間以外にも自主的な学びやグループで活動する時間も求められるときもありましたが,やり終えた後にはミドルリーダーとしての自覚が芽生える学生も多くいました。

 

①  学習の成果の一部

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②  ケースメソッド学習、教育課題発見・解決案の発表の様子

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以上のような学びを通して,教員のマネジメントスキルの育成を図るとともに,学校経営経営研究を行うための基本的視座を提供しています。

 

主な授業資料等

・『日本教育経営学会紀要』第一法規.

・日本教育経営学会実践推進委員会編(2014)『次世代スクールリーダーのためのケースメソッド入門』花書院.

・九州大学 熊本市教育センター(2017)『(独)教員研修センター委嘱事業 次世代型研修プログラムモデル開発事業別冊報告書 ミドルリーダー研修コンテンツ開発トライアル』.

 

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最終更新 : 2025-06-25 09:07