高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus2019」(令和元年8月5日~8日) 理数教育研究センター

理数教育研究センター

理数教育研究センターは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共催で、高校生を対象とした素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)」を開催しました。このキャンプは、KEKのBelle実験で実際に行われている最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的として、平成18年度より実施しています。13回目となる今回のキャンプには、北海道から沖縄までの全国各地、さらにイギリスからの参加もあり、合計24名の高校生が集いました。

本センターの片岡佐知子特任准教授は、実行委員長としてキャンプの企画・運営に携わるとともに、実習の指導にあたりました(写真1)。

キャンプの中核となる実習では、Belle実験で使用されている粒子測定器や実験データなどを活用した以下の4つの課題を実施しました。
・Belleの実験データの中から粒子を探索する研究
・宇宙線(ミュー粒子)の速度を測定する研究
・自作したワイヤーチェンバーを用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する研究
・Belle実験で観測可能な現象の理論的研究

また、キャンプでは実習を行うだけでなく、実習結果をまとめて考察を加え、それらを発表する時間を設けています。最終日に行われた発表会では、それぞれの発表に対して高校生が質問を投げかけ合う場面もあり、研究者さながらの活発な議論が交わされました。
この他にも、素粒子物理学の講義や施設見学(写真2)やサイエンスカフェ、懇親会を実施しました。
また、本学大学院の修了生が参加し、霧箱の実験実習を指導しました(写真3)。
アンケートでは「素粒子物理学がどんなものか見通すことができて良かった。今まで断片的にあった知識がつながった」、「自分の考えを周りに伝えて議論することの大切さを学んだ」といった感想が述べられていました。

閉会式では、2008年ノーベル物理学賞受賞者で、高エネルギー加速器研究機構栄誉教授の小林誠教授が、サプライズで登場して下さり、高校生から大きな歓声が上がっていました。また、小林教授から高校生一人一人に修了書が手渡されました。高校生からは「とても貴重な経験で忘れられない思い出になった」といった感想が寄せられました。

なお、奈良教育大学と高エネルギー加速器研究機構は、教育及び研究成果の社会還元の推進を目的として、2012年6月に連携協定を締結しました。Belle Plusは連携協定の主要プロジェクトの一つとして実施しています。


(写真1)実習の様子


(写真2)SuperKEKB加速器の見学


(写真3)本学卒業生による実験実習

<参考>

Belle Plus (ベルプリュス)

Belle実験グループ

Belle II 実験グループ

高エネルギー加速器研究機構