奈良教育大学理数教育研究センターでは、令和5年8月29日~30日の2日間、県下山村部にある曽爾小中学校で「サマースクール 2023イン 曽爾」を開催しました。このサマースクールは、曽爾村との包括連携協力協定に基づいて行われたものです。本学が推進する、優れた教育実践力を持つ理数科に強い教員の養成を目的とした理数教育プログラムに参加する学生や教員が、理科・数学(算数)実験を中心とした特別授業を行いました。普段できない実験などを目の当たりにした児童・生徒は、驚きと感動を胸に授業に取り組んでいました。子供から大人まで、素晴らしい曽爾の自然環境の中で、共に思う存分学びました。また、今年度は国際戦略センターとの協働で、インドネシア、リベリア、マラウィから教員研修留学生3名が、7~9年生対象に自国のプレゼンを行いました。これらは、奈良教育大学及び曽爾村双方における教育・研究の充実につながる有意義な取組であり、連携協力事業として大きな成果をあげるものとなりました。
過去のサマースクール イン 曽爾
開校式ではまず、曽爾村の尾上教育長からお言葉を頂き、引き続き石田センター長、新理数2回生代表の挨拶がありました。こうして2日間のサマースクールがスタートしました。
開校式の後、7~9年生対象に、レクレーションを行いました。整列ゲーム(お題にそって、並び替えるゲーム)を実施し、曽爾小中学校の生徒、教員と交流を深めました。
本学の教員研修留学生が7~9年生対象に自国(インドネシア、リベリア、マラウイ)の文化や言語、食べ物についてプレゼンを行いました。
7~9年生に対して、新理数生企画による科学実験ブースの出展を行うチャレンジ!サイエンスを実施しました。
今回は、イオンの架橋を利用した「つかめる水」を作る実験を行いました。授業では電離やイオンの結合といった「つかめる水」の微視的な背景と併せて、巨視的なイメージ図を取り入れて説明しました。それを踏まえて、より耐久性のある「つかめる水」を作る方法を思考しました。班ごとに異なった条件を設定し、実験結果を共有することで、様々な条件での結果を原理の理解と共に学ぶことが出来ました。
今回は、数学で正多角形について授業を行いました。普段の授業で取り扱うような内容でも少し見方を変えてみるだけで今までに考えた事のないような方へと進んでいくことを曽爾小中学校の生徒に体験してもらえたと思います。授業者自身、今回の授業を考えるにあたり、進め方を考えたり、問題をどのようにしようか考えたりと楽しみながら授業準備と本番を迎えることができました。
3~6年生に対して、新理数生による理科・数学(算数)実験ブースの出展を行うサイエンスルームを実施しました。
この授業では、身近な気体である酸素と二酸化炭素の発生方法と検出方法を実験し、どのような性質があるのかを調べました。それぞれの気体を発生させる実験では、安全に十分配慮した上で児童らに実験してもらいました。反応が起きると、「びっくりした」「面白い」と言いながら興味を持って実験を楽しんでいました。
今回の授業では、数の石垣を使った「おみくじ」を扱った授業を行いました。最上段を大吉となる3の倍数にするために、最下段に入れる数の組み合わせの法則性についてグループワーク形式で話し合いながら考えました。Excelを用いた計算ツールを利用して積極的に楽しみながら試行錯誤を繰り返し、文字式の考え方を利用して記号を用いて枠内の数字を表しながら、最終的に大吉になる法則性を突き止めることができました!
プロジェクト教員が3~6年生と1~2年生に講義・実験を行いました。
講師:奈良教育大学 藤井智康
川の生き物の種類と数から水質を判定する生物学的調査とパックテスト (COD:化学的酸素要求量)による簡単な化学的な水質検査を行いました。曽爾川の河川改修の関係でこれまで実施していた場所ではできず、少し下流で調査を行いました。場所は違いましたが、カゲロウ類、カワゲラ類、ヘビトンボ、サワガニなどきれいな川にいる水生生物や、カワムツなどの魚がたくさんみられました。大変暑く、熱中症も心配されましたが、子どもたちから「ヘビトンボみつけた!」、「この生き物の名前は何?」など楽しく、元気に調査ができました。また、パックテストによるCOD値は、0~2 mg/L(ピンク色に変化)と低い値を示していました。今年の調査においても曽爾川は「きれいな川」と判定できました。学校に戻ってからは、曽爾川の調査について、各班から結果を発表してもらいました。元気よく、しっかりと結果について発表してくれました。
講師:奈良教育大学 石田正樹、小長谷達郎、松井 淳
1・2年生は学校のまわりで虫とりをしました。小学校の先生や大学生といっしょにいろいろな虫をとりました。今年はNHKのスタッフさんもいっしょでしたね。さいしょにいったヘリポートではみんなトンボをつかまえようとがんばりました。たかいところをとぶトンボをとるのはむずかしかったですね。草むらにはバッタがたくさんいました。さいしょはあみをつかっていても、さいごは手でつかまえた人がおおかったですね。虫の口のかたちがそれぞれちがうことや、羽や足がむねから生えているのをべん強しました。きょうしつにもどってからずかんでつかまえた虫をしらべました。シオカラトンボ、アキアカネ、ウスバキトンボ、ショウリョウバッタ、キリギリス、ツユムシ、エンマコオロギ、ツチイナゴ、マメコガネ、ジャノメチョウ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、オオトガリハナバチ、クロアナバチ、キイロスズメバチ…。ことしもたくさんのむしたちにあえました。
閉校式では曽爾小中学校の児童・生徒よりお礼の言葉とたくさんの感想を頂き、曽爾小中学校校長森川先生からお言葉を頂きました。引き続き今回のサマースクールの陣頭指揮をした小川先生より挨拶がありました。その後、新理数2回生代表、曽爾小中学校生徒代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間が無事終了しました。
「サマースクール イン 曽爾」の様子がNHK「ならナビ」にて放送されました。