サマースクール2017イン曽爾 理数教育研究センター

理数教育研究センター

サマースクール2017イン曽爾

奈良教育大学理数教育研究センターでは、平成29年8月26日、27日の2日間、県下山村部にある曽爾小学校と中学校で「サマースクール 2017イン 曽爾」を開催しました。 このサマースクールは、曽爾村との包括連携協力協定に基づいて行われたものです。本学が推進する、優れた教育実践力を持つ理数科に強い教員の養成を目的とした理数教育プログラムに参加する学生や教員が、理科・数学(算数)実験を中心とした特別授業を行いました。小中学校では普段できない実験などを目の当たりにした児童・生徒は、驚きと感動を胸に授業に取り組んでいました。今年は天候に恵まれ、8年振りに天体観望会を実施することができ、素晴らしい曽爾の自然環境の中で、共に思いっきり学びました。 また、御杖中学校からも一部参加の試みが行われ、曽爾・御杖両村の児童・生徒の勉学を通した交流の場となりました。 これらは、奈良教育大学及び曽爾村双方における教育・研究の充実につながる有意義な取組であり、連携協力事業として大きな成果をあげるものとなりました。

過去のサマースクール イン 曽爾

開校式

開校式ではまず、曽爾中学校校長山邊先生からお言葉を頂き、引き続き藤井センター長からの挨拶がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間のサマースクールがスタートしました。

  

  

チャレンジ!サイエンス

中学生に対して、新理数生・大学院生企画による科学実験ブースの出展を行うチャレンジ!サイエンスを実施しました。

『鉛筆に電気が溜まる!?鉛筆蓄電池を作ろう!』

この授業では、木炭電池と鉛筆蓄電池を作りました。木炭電池は使っていくとアルミホイルに穴が開いたり、鉛筆蓄電池は充電すると気泡が発生し放電するとその気泡がなくなっていったりと、電池は化学反応を利用しているということを実感してもらえたと思います。また、一次電池(木炭電池や乾電池)と二次電池(鉛筆蓄電池やスマホの電池)の共通点と相違点を考え、なぜ充電できる電池とできない電池があるのかを学びました。

  

  

『身の回りに潜む多面体って?』

本授業では、身の回りに潜んでいる多面体を確認し、図形パズルのポリドロンを用いて、自分たちの身の回りにある多面体を再現したり自分たちで考えながら様々な多面体を作りました。その後に、自分たちで作った多面体を特徴ごとにグループに分け、クイズを通して、正多面体と半正多面体という分類について学習しました。また、自分たちで作った多面体や模型からどんな多面体にもオイラーの多面体定理が成立することも確認しました。

  

  

『大事なのは(カエルの)見た目じゃなく(カエルの)中身』

カエルの内臓を観察し、人のそれと比較してみよう!ということで、本授業ではカエルの解剖を行いました。観察してもらったのは主に、肺・心臓・消化器官などの人と共通した臓器で、「カエルの呼吸の仕方」や「心臓の構造」・「消化器官の働き」などを学習した上で、まとめとして「人とカエルの類似点・相違点」について考えてもらい、人とカエルが同じ「脊椎動物」であることを実感してもらいました。また、実食を通して、カエルに対する親近感(おいしい)も持ってもらえたと思います。

  

  

教員によるチャレンジ!サイエンス

プロジェクト教員が中学生へ講義・実験を行いました。

講演:不思議な折り紙、たたみかえ六角形で遊ぼう!!

講師:奈良教育大学 釣井達也、伊藤直治
数学パズルのひとつである、たたみかえ六角形を実際に作って遊びました。たたみかえ六角形は、見た目には表と裏の2つの面があるように見えますが、実は表と裏の区別がない図形です。表と裏の区別のない世界で起こる不思議な現象を体験し、そこに隠れている算数・数学について考察しました。

  

  

サイエンスルーム

小学生に対して、新理数生企画による数学(算数)実験ブースの出展を行うサイエンスルームを実施しました。

『どれが早く転がるかな?比べて調べよう!』

本授業では、「斜面を転がる物体の速度の関係性」の理解を深めてもらいました。斜面に重さや大きさ、中身の異なる缶を転がした時に、速度の違いはあるのか、速度の違いはどのような要因で生じるのかを対照実験を行い学習しました。そして、斜面を転がる缶の中身が缶と同じように回転しているのか、中身は回転していないのかによって速度が異なることを知ってもらいました。身近起こる物理現象や科学現象にも目を向けるきっかけになったのではないかと思います。

  

  

『観察博士になっちゃおう!』

いつも食べている野菜・果物の断面をスケッチを通してよく観察し、それぞれの仲間分けをしました。野菜と果物のスケッチはみんな真剣そのもので、とてもいい集中で取り組んでくれました。まとめでは、みんなに描いてもらったスケッチをもとにどれとどれが同じ仲間かを考えました。種の大きさや種のあるブロックに注目するなど、いろいろな視点で考えてくれました。最後に花と果実の断面をセットにすると野菜・果物は仲間分けできることが分かりました。残った時間でスイカとメロンをおいしくいただきました。

  

教員によるサイエンスルーム

プロジェクト教員が小学生へ講義・実験を行いました。

講演:川の水質調査

講師:奈良教育大学 藤井智康
川の生き物の種類と数から水質を判定する生物学的調査とパックテスト (COD:化学的酸素要求量)による簡単な化学的な水質検査も行いました。今年は、前日深夜の雨によって川が増水し、少し濁っていましたが、昨年と同様にカゲロウ類、カワゲラ類、ヘビトンボ、サワガニなどきれいな川にいる水生生物や、ヨシノボリ類、カワムツ、ムギツクなどの魚がたくさんみられました。パックテストによるCOD値は、前日の雨によって6~8 mg/L(昨年は0~2 mg/L)と高い値を示していました。川の増水によるものであると考えられます。子どもたちは、活き活きと興味を持って、調査を行っていました。

  

  

講演:虫取り

講師:奈良教育大学 石田正樹、松井 淳
1・2年生は学校のまわりで虫とりをしました。先生もおおぜいいっしょに虫をさがしました。運動場や花だんのほか自然観察園もあけてもらいました。土手を登ると学校のそとに出てしまいました。おかげでいろんな場所で虫とりができました。みんな自分のあみと虫かごをもって元気に虫を追いかけ、どの子のかごもいっぱいになりました。ホールにもどって図鑑でしらべてみると、スズバチ、ムラサキシジミ、イチモンジセセリ、サトキマダラヒカゲ、ツマグロヒョウモン、アキアカネ、ミルンヤンマ、オオシオカラトンボ、ハグロトンボ、クルマバッタ、ショウリョウバッタ、エサキモンキツノカメムシ、などなど…。名まえのわかった虫をまわして、もういちど観察しました。

  

  

天体観測会8月26日(土)

曽爾のきれいな星空の下、曽爾中学校で天体観望会を行いました。好天かつ月と惑星が良い位置にあり、絶好の天体観測日和でした。木星の縞模様だけでなく、ガリレオ衛星が4つも見えました。土星の輪っかを初めて見た子どもたちからは驚きの声が上がっていました。夏の大三角を形づくるベガ、アルタイル、デネブや、さそり座の心臓の星アンタレスなど多くの星を観測しました。

  

  

閉校式

閉校式では曽爾中学校教頭森田先生よりお言葉を頂き、引き続き今回のサマースクールの陣頭指揮をした片岡先生より挨拶がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間が無事終了しました。