サマースクール2018イン曽爾 理数教育研究センター

理数教育研究センター

サマースクール2018イン曽爾

奈良教育大学理数教育研究センターでは、平成30年8月25日、26日の2日間、県下山村部にある曽爾小学校と中学校で「サマースクール 2018イン 曽爾」を開催しました。このサマースクールは、曽爾村との包括連携協力協定に基づいて行われたものです。本学が推進する、優れた教育実践力を持つ理数科に強い教員の養成を目的とした理数教育プログラムに参加する学生や教員が、理科・数学(算数)実験を中心とした特別授業を行いました。小中学校では普段できない実験などを目の当たりにした児童・生徒は、驚きと感動を胸に授業に取り組んでいました。天候に恵まれ、2年連続の天体観望会を実施することができました。今年度で13回目のサマースクールになりますが、天体観望会が実施出来たのは4回であり、2年連続で実施出来たのは初めてになります。素晴らしい曽爾の自然環境の中で、共に思いっきり学びました。また、今年度は国際交流留学センターとの協働で、ブラジルとマラウイから教員研修留学生3名もサマースクールに参加し、曽爾の子どもたちと一緒に理科・数学(算数)を学びました。これらは、奈良教育大学及び曽爾村双方における教育・研究の充実につながる有意義な取組であり、連携協力事業として大きな成果をあげるものとなりました。

過去のサマースクール イン 曽爾

開校式

開校式ではまず、曽爾中学校校長中山先生からお言葉を頂き、引き続き藤井センター長からの挨拶がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間のサマースクールがスタートしました。

  

  

チャレンジ!サイエンス

中学生に対して、新理数生企画による科学実験ブースの出展を行うチャレンジ!サイエンスを実施しました。

『サイコロゲーム』

今回の授業では、サイコロを使ったゲームをしながら確率を学びました。通常のサイコロではなく、自分たちで作った通常のサイコロとは数字の異なるサイコロを使用し、表をもとに勝率などを計算しました。また、出目の合計や数字を制限し、指定したサイコロに対して勝率が50%を超えるサイコロなどを、生徒に作ってもらったりもしました。

  

  

『折り紙と数学』

本授業では、折り紙の折り目を利用した作図について学びました。最初に、垂直二等分線や角の二等分線、垂線を折り紙の折り目から推測して、それらをコンパスと定規で作図しました。その後、不可能作図を学び、折り紙でできる数学の可能性を知ってもらいました。また、自分たちで自由に折った折り紙の折り線をコンパスと定規で作図してみました。

  

  

『気圧による水の変化 〜真空の不思議〜』

この授業では、気圧を下げると沸点も下がり、気圧を上げると沸点も上がるといった気圧による水の沸点の変化を学びました。真空ポットを使い、自分たちで気圧を下げてお菓子の袋を膨らませることで、気圧の大きさや気圧の存在を確認しました。また、真空ポットに約70℃から80℃のお湯を入れ、減圧して沸騰させる実験を行いました。その後気圧とお湯の温度を測定し、自分たちでグラフを書き蒸気圧曲線との関係を学びました。

  

  

『手持ち花火師になろう』

この授業では、夏の定番ともいえる花火の色の違いを生み出している炎色反応について原子や電子のレベルまで詳しく勉強した後で、実際に4色の手持ち花火を作りました。花火を作るときには薬品の重さを計量したり、火薬を紙に包んだりするときには楽しみながらも真剣な表情が多く見え、きれいな花火が無事完成しました。実際に作ってみたことで、理科の勉強が身近な生活に繋がっていることを感じてもらえたと思います。

  

  

サイエンスルーム

小学生に対して、新理数生・大学院生企画による数学(算数)実験ブースの出展を行うサイエンスルームを実施しました。

『10円玉をきれいにしたい。』

本授業では、酸性・アルカリ性の性質をもとに、実験を通して推測し、検証する大切さを学んでもらいました。10円玉を身近な飲み物や調味料などにつけて、どの液体が10円玉をきれいにする性質を持っているのかを調べる2回の実験を行いました。2回目の実験では、たくさんの液体の中から班で協力し、きれいになりそうなものを選び実験しました。実際に10円玉がきれいになっているのを見てとても嬉しそうにしてくれていました。

  

  

『水の中の小さな生き物たち』

本授業では、メダカのような小さな魚たちはどのようなものを食べているのかについて、池の水を顕微鏡で観察することにより、曽爾の小学3~6年生に考えてもらいました。先生方もいっしょになって水の中にいる小さな生き物たち(プランクトン)を探しました。みんなそれぞれの顕微鏡を使って、たくさんのプランクトンを見ることができ、図鑑で調べてみると、ミクロキスティス、ユレモ、セネデスムス、ミドリムシ、ワムシなどがいることがわかりました。子どもたちが興味を持って楽しく観察していたのが印象的でした。

  

  

教員によるサイエンスルーム

プロジェクト教員が小学生へ講義・実験を行いました。

講演:川の水質を汚すものは何か?

講師:奈良教育大学 藤井智康
今年度は、前日の台風の影響で河川が増水しており、これまで13回のサマースクールで 初めて「曽爾川の水質調査」は中止となりました。それに変わる授業として「川の水質を汚すものは何か?」 を実施しました。普段、食事などで出される「みそ汁」「めんつゆ」などを生活排水として河川に流した場合、 魚が棲める環境にするためにはどのぐらい水で希釈する必要があるかを調べました。 「みそ汁」と「めんつゆ」を用いて希釈実験を行い、水質パックテスト(COD:化学的酸素要求量)により どれだけCODが高いかを調べました。この結果から家庭排水が河川の水質にどれだけ影響を及ぼすか考えました。

  

  

講演:虫とり

講師:奈良教育大学 石田正樹、松井 淳
1・2年生は学校のまわりで虫とりをしました。先生もおおぜいいっしょに虫をさがしました。運動場や花だんのほか自然観察園もあけてもらいました。土手を登ると学校のそとに出てしまいました。おかげでいろんな場所で虫とりができました。みんな自分のあみと虫かごをもって元気に虫を追いかけ、どの子のかごもいっぱいになりました。ホールにもどって図鑑でしらべてみると、クロアナバチ、カノコガ、オオミスジ、アキアカネ、ミヤマアカネ、マユタテアカネ、シオカラトンボ、クルマバッタ、ショウリョウバッタ、ヒシバッタ、キリギリス、ツチイナゴ、オオカマキリ、などなど…。名まえのわかった虫をまわして、もういちど観察しました。

  

  

天体観測会8月25日(土)

曽爾の夜空はきれいに晴れ渡り、素晴らしい天体観望会を開くことができました。日没直後から東の空に大きな満月が登ってきました。一方で、西の空に明るく輝く金星を天体望遠鏡で観ると、ちょうど半分だけ光っていました。空が暗くなるに連れ、木星と土星が見えてきました。さらに大接近をしている火星も見ることができました。曽爾の小・中学生だけでなく、奈教生も大人もみんなでこの惑星大集合を楽しみました。

  

  

閉校式

閉校式では曽爾中学校教頭森田先生よりお言葉を頂き、引き続き今回のサマースクールの陣頭指揮をした釣井先生より挨拶がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間が無事終了しました。