サマースクール2016イン曽爾 理数教育研究センター

理数教育研究センター

サマースクール2016イン曽爾

奈良教育大学理数教育研究センターでは、平成28年8月27日、28日の2日間、県下山村部にある曽爾小学校と中学校で「サマースクール 2016イン 曽爾」を開催しました。 このサマースクールは、曽爾村との包括連携協力協定に基づいて行われたものです。本学が推進する、優れた教育実践力を持つ理数科に強い教員の養成を目的とした理数教育プログラムに参加する学生や教員が、理科・数学(算数)実験を中心とした特別授業を行いました。小中学校では普段できない実験などを目の当たりにした児童・生徒は、驚きと感動を胸に授業に取り組んでいました。今年は期間中天気が悪かった為、天体観望会は中止となりましたが、素晴らしい曽爾の自然環境の中で、共に思いっきり学びました。 また、御杖小学校・中学校からも一部参加の試みが行われ、曽爾・御杖両村の児童・生徒の勉学を通した交流の場となりました。 これらは、奈良教育大学及び曽爾村双方における教育・研究の充実につながる有意義な取組であり、連携協力事業として大きな成果をあげるものとなりました。

過去のサマースクール イン 曽爾

開校式

開校式ではまず、曽爾中学校校長山邊先生からお言葉を頂き、引き続き和田センター長、及び、プロジェクト教員からの挨拶・自己紹介がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間のサマースクールがスタートしました。

  

  

チャレンジ!サイエンス

中学生に対して、新理数生・大学院生企画による科学実験ブースの出展を行うチャレンジ!サイエンスを実施しました。

『万華鏡を作ろう!』

万華鏡の仕組みを知ることによって、中学一年生で習う"光の反射"の理解をより深めてもらった。鏡が一枚での反射はもちろん、二枚・三枚では像がどのように見えるか、光線はどのように進むのかを実験を交えて知ってもらった。最後には、身近なもので万華鏡作成を行ってもらい、自分だけのオリジナル万華鏡を持ち帰ってもらいました。この授業を通して、身近にある理科を堪能してもらえたのではないかと思います。

  

  

『グラウンドに模様を描こう』

今回はグラウンドにロゴマークを書こうということで、棒とひもをつかっての作図を行いました。天候の影響もあり、室内での代替内容になるなどしましたが、普段なかなか書くことのない大きな図形を、コンパスなどの道具を使わずに書くことができました。普段学んでいる知識と身近な道具を用いれば、たとえ大きくなったとしてもロゴマークのような図形を正確に描くことができることを実感してもらえたと思います。

  

  

『食べものだけど食べちゃダメ!~たべもの電池~』

本授業では、レモンと亜鉛板と銅を使った「たべもの電池」と「乾電池」を比較し、「はたらき」と「構造」の観点から、共通点と相違点を明らかにしました。「はたらき」は、二つの電池それぞれで回路を組み、全体の電流電圧の値や接続した抵抗の動作で比較しました。また「構造」は、乾電池の中の部品を観察し、たべもの電池の構造と比較しました。生徒達は実験観察を通して「どちらも基本的な構造やはたらきは同じである」ことを学びました。

  

  

『花粉ってなんぞや』

身近な植物の花粉観察をしました。自分たちで観察項目を決めて、形、色、表面の様子などを班ごとに記録して、その観察結果をまとめたクラス全体の表を作成しました。観察では、どれが花粉なのか分からないで困っている生徒もいましたが、最後は全員が観察することができた上に他の生徒の観察した花粉と見比べることもでき、花粉も植物の生き方によってさまざまな形質を持っている事を実感できたのではないかと思います。

  

  

サイエンスルーム

小学生に対して、新理数生企画による数学(算数)実験ブースの出展を行うサイエンスルームを実施しました。

『丸い形の便利なもの』

私たちは、児童たちに円の「中心から等しい距離にある点の集合」という性質を改めて見直してもらうために、様々な形のコロや、軸の位置がずれた台車を使って授業を行いました。タイヤの形が丸なのに台が上下する台車等を実際に動かして考えてもらいました。円と似た性質をもつ「ルーローの三角形」を紹介したときは、児童も先生も驚いている様子でした。また、作図について考えるとき、作図しているときは本当に楽しそうでした。

  

  

教員によるサイエンスルーム

プロジェクト教員が小学生へ講義・実験を行いました。

講演:きれいな形を作って調べよう

講師:奈良教育大学 花木 良、吉井貴寿、高橋 亮
図形学習遊具「ポリドロン」を用いて、ピラミッド(正四角錐)やサイコロ(立方体)、サッカーボール(切頂二十面体)を作りました。また、頂点・辺・面に着目しその数を調べることで、オイラーの多面体公式を経験的に学びました。最後には、アルキメデス多面体についてもふれ、切頂六面体や斜方切頂立方八面体なども作り、調べました。様々な立体を作り・調べる活動に参加者はみな夢中になって取り組んでいました。

  

  

講演:曽爾川の水質と生き物を調べよう

講師:奈良教育大学 藤井智康
川の生き物の種類と数から水質を判定する生物学的調査とパックテスト (COD:化学的酸素要求量)による簡単な化学的な水質検査も行いました。今年も、昨年と同様にカゲロウ類、カワゲラ類、ヘビトンボ、サワガニなどきれいな川 にいる水生生物や、ヨシノボリ、カワムツ、カマツカなどの魚がたくさんみられました。パックテストによるCOD値は0~2 mg/Lと低い値を示していました。このように、 生物学的・化学的な調査結果から、曽爾川はきれいな川であると判定しました。子どもたちは、活き活きと興味を持って、調査を行っていました。

  

  

講演:虫とり

講師:石田正樹、松井 淳
1・2年生は学校のまわりで虫とりをしました。先生もおおぜいいっしょに虫をさがしました。運動場や花だんのほか自然観察園もあけてもらいました。土手を登ると学校のそとに出 てしまいました。おかげでいろんな場所で虫とりができました。みんな自分のあみと虫かごをもって元気に虫を追いかけ、どの子のかごもいっぱいにな りました。ホールにもどって図鑑でしらべてみると、サトキマダラヒカゲ、ツマグロヒョウモン、アキアカネ、シオカラトンボ、ハグロトンボ、ヒシバッタ、ショウリョウバッタ、ホソヘ リカメムシなどなど…。名まえのわかった虫をまわして、もういちど観察しました。

  

  

閉校式

閉校式では曽爾中学校教頭森田先生よりお言葉を頂き、引き続き今回のサマースクールの陣頭指揮をした吉井先生より挨拶がありました。その後、曽爾中学校生徒代表、新理数2回生代表の挨拶の交換が行われました。こうして2日間が無事終了しました。