理数教育研究センターは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共催で、高校生を対象とした素粒子サイエンスキャンプ「オンライン Belle Plus(ベルプリュス)」を開催しました。このキャンプは、KEKのBelle実験で実際に行われてきた最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的として、平成18年度より実施しています。14回目となる今回のキャンプは、新型コロナウィルス感染症の影響により、例年どおりの開催は困難となったことから、12月27~29日と1月5日にオンライン形式で開催し、北海道から沖縄まで全国から17名の高校生が集いました。
本センターの片岡佐知子特任准教授は、実行委員長としてキャンプの企画・運営に携わるとともに、実習の指導にあたりました。
キャンプの中核となる実習では、Belle実験で使用されている粒子測定器や実験データなどを活用した以下の3つの課題を実施しました。
・Belleの実験データの中から粒子を探索する研究
・ワイヤーチェンバーを用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する研究
・Belle実験で観測可能な現象の理論的研究
また、キャンプでは実習を行うだけでなく、実習結果をまとめて考察を加え、それらを発表する時間を設けています。12月27日~29日の3日間の実習と発表準備を経て、1月5日の発表会では、それぞれの発表に対して高校生が質問を投げかけ合う場面もあり、研究者さながらの活発な議論が交わされました。 この他にも、素粒子物理学の講義やオンライン施設見学やサイエンスカフェ、交流会を実施しました。
アンケートでは「色々な現象を素粒子の視点で見るようになった」、「学校で学んだ内容がどういったものに活用できる知識なのか主体的に考えられるようになった。」、「新型コロナウイルス感染症により学校でも実験がほとんどできていなかったため、オンラインではあるけれども、実験をできたことが嬉しかった」といった感想が述べられていました。
なお、奈良教育大学と高エネルギー加速器研究機構は、教育及び研究成果の社会還元の推進を目的として、2012年6月に連携協定を締結しました。Belle Plusは連携協定の主要プロジェクトの一つとして実施しています。