高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス) 2022」 (令和4年8月2日〜5日) 理数教育研究センター

理数教育研究センター

高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス) 2022」 (令和4年8月2日〜5日)

理数教育研究センターは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共催で、高校生を対象とした素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)」を開催しました。このキャンプは、KEKのBelle実験で実際に行われている最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的として、平成18年度より実施しており、今年は16回目の開催となります。新型コロナウィルスの影響により、昨年と一昨年度はオンライン形式での開催となりました。3年ぶりの対面での開催となった今回のキャンプには、全国から集まった高校生23名が参加しました。
キャンプの中核となる実習では、Belle実験で使用されている粒子測定器や実験データなどを活用した以下の4つの課題を実施しました。

  • Belleの実験データの中から粒子を探索する研究
  • 宇宙線(ミュー粒子)の速度を測定する研究
  • 自作したワイヤーチェンバーを用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する研究
  •  Belle実験で観測可能な現象の理論的研究

また、キャンプでは実習を行うだけでなく、実習結果をまとめて考察を加え、それらを発表する時間を設けています。最終日に行われた発表会では、それぞれの発表に対して高校生が質問を投げかけ合い、研究者さながらの活発な議論が交わされました。
この他にも、素粒子物理学の講義や高校教員による実験実習、施設見学やサイエンスカフェ、懇親会やBelle Plus卒業生との交流会を実施しました(写真1,2,3)。
高校生からは「今までは、電子や素粒子というと遠い存在のように思っていたが、宇宙線を観測したことでとても身近な存在だと思うようになった」「今までは実験は決められた手順通りにするものだったが、自分達で適切な方法や誤差を検討しないといけないということを知って、研究への理解が深まった」「同じ志を持つ人達と出会うことができる貴重な機会だった」といった感想が寄せられました。

本センターから2名のスタッフが参加しました。片岡佐知子特任准教授は、実行委員長としてキャンプの企画・運営に携わるとともに、実習の指導にあたりました(写真4)。
また、釣井達也研究部員はキャンプ運営に大きく貢献しました(写真5)。

また、本学卒業生で大阪府立北千里高校の田中智貴教諭が実験実習の講師を務めました(写真6)。

なお、奈良教育大学と高エネルギー加速器研究機構は、教育及び研究成果の社会還元の推進を目的として、2012年6月に連携協定を締結しました。Belle Plusは連携協定の主要プロジェクトの一つとして実施しています。

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(写真1,2)Belle II 測定器とSuperKEKB加速器を見学する様子。

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(写真3)2006年Belle Plus参加者で、現在、筑波大学大学院生のBelle Plus 卒業生が研究紹介を行う様子。滞在先の欧州原子核研究機構(CERN)からZoomでつないで交流した。

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(写真4)コース別実習「Belleの実験データの中から粒子を探索する研究」で指導する片岡特任准教授 。

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(写真5)懇親会を進行する釣井研究部員。

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(写真6)実験実習の様子。田中教諭が講師を担当し霧箱実験を行った。

<参考>
Belle Plus (ベルプリュス)
Belle実験グループ
Belle II 実験グループ
高エネルギー加速器研究機構