高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus2018」(平成30年8月6日~9日) 理数教育研究センター

理数教育研究センター

理数教育研究センターは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共催で、高校生を対象とした素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)」を開催しました。このキャンプは、KEKのBelle実験で実際に行われている最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的として、平成18年度より実施しています。12回目となる今回のキャンプには、全国から集まった高校生23名が参加しました。

キャンプの中核となる実習では、Belle実験で使用されている粒子測定器や実験データなどを活用した以下の4つの課題を実施しました。
・Belleの実験データの中から粒子を探索する研究
・宇宙線(ミュー粒子)の速度を測定する研究
・自作したワイヤーチェンバーを用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する研究
・Belle実験で観測可能な現象の理論的研究

また、キャンプでは実習を行うだけでなく、実習結果をまとめて考察を加え、それらを発表する時間を設けています。最終日に行われた発表会では、それぞれの発表に対して高校生が質問を投げかけ合う場面もあり、研究者さながらの活発な議論が交わされました。
この他にも、素粒子物理学の講義や高校教員による実験実習、施設見学やサイエンスカフェ、懇親会を実施しました。
閉会式では、2008年ノーベル物理学賞受賞者で、高エネルギー加速器研究機構栄誉教授の小林誠教授が、サプライズで登場して下さり、高校生から大きな歓声が上がっていました。また、小林教授から高校生一人一人に修了書が手渡されました。高校生からは「一生忘れられない思い出になった」「とても感激し、少しでも小林先生に近付けるように科学の勉強に励みたいと決意した」といった感想が寄せられました。

さらに、「以前よりも実験結果に対して多面的に考える力がついた」「すごくすごく楽しくて、高校に入ってから苦手意識がつきはじめていた物理の素敵な部分を思いだせた」「理論を学習するだけではなく、議論して新しい結論を導くことの楽しさも感じられた」などの感想がありました。

本センターから2名の教員と学生1名が参加しました。片岡佐知子特任准教授は、実行委員長としてキャンプの企画・運営に携わるとともに、実習の指導にあたりました(写真)。 また、釣井達也特任准教授はキャンプ運営に大きく貢献しました。TAとして参加した学生は、高校生への指導の他,施設見学の引率や、キャンプ初日の懇親会を企画・担当しました (写真)。

なお、奈良教育大学と高エネルギー加速器研究機構は、教育及び研究成果の社会還元の推進を目的として、2012年6月に連携協定を締結しました。Belle Plusは連携協定の主要プロジェクトの一つとして実施しています。


コース別実習「Belleの実験データの中から粒子を探索する研究」で指導する片岡特任准教授。


実習の指導にあたる本学の学生TA。


施設見学の様子。


閉会式後の集合写真(この場をお借りして、お忙しい中、高校生のために閉会式に参加してくださった小林教授に心より感謝申し上げます)

<参考>

Belle Plus (ベルプリュス)

Belle実験グループ

Belle II 実験グループ

高エネルギー加速器研究機構