理数教育研究センターは、高エネルギー加速器研究機構（KEK）との共催で、高校生を対象とした素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)」を開催しました。このキャンプは、KEKのBelle実験で実際に行われている最先端の研究活動を高校生に体験してもらうことを目的としています。６回目の開催となる今回のキャンプに全国から集まった高校生23名が参加しました。
キャンプの中核となる実習では、Belle実験で使用されている粒子測定器や実験データなどを活用した以下の４つの課題を実施しました。
・ Belleの実験データの中から粒子を探索する研究
・ 粒子の飛跡を検出するスパークチェンバーを用いて宇宙線の性質を調べる研究
・ 自作したワイヤーチェンバーを用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する研究
・ Belle実験で観測可能な現象の理論的研究
また、キャンプでは実習を行うだけでなく、実習結果をまとめて考察を加え、それらを発表する時間を設けています。最終日に行われた発表会では、それぞれの発表に対して高校生が質問を投げかけ合う場面もあり、研究者さながらの活発な議論が交わされました。この他にも、素粒子入門講義や施設見学、実験実習や放射線をテーマとしたサイエンスカフェや懇親会・交流会を実施しました。
キャンプ参加者からは、「今まで、素粒子は自分とは遠い存在だと思っていたが、身近なものとなった」、「科学への関心が高まっただけでなく、他人と意見を共有することの大切さも学んだ」といった感想が寄せられました。
本センターの片岡佐知子専任講師は、実行委員長としてキャンプの企画・運営に携わるとともに、実習の指導にあたりました。本学からは学生2名がTAとして参加し、高校生を指導しました。また、キャンプ初日の交流会では、レクリエーションを企画・実施し参加者同士の交流を盛り上げました。
なお、奈良教育大学と高エネルギー加速器研究機構は、教育及び研究成果の社会還元の推進を目的として、2012年6月に連携協定を締結しました。Belle Plusは連携協定の主要プロジェクトの一つとして実施しています。
<参考>
Belle Plus (ベルプリュス)
