奈良教育大学 体育会対象「熱中症対策研修会」実施報告
―現場対応力を育てる実践型プログラム、学生の主体的な学びの場に―
5月21日(水)午後、奈良教育大学では、体育会に所属する全クラブを対象とした「熱中症対策研修会」を開催しました。本研修は今年で3年目となり、保健体育講座の笠次良爾教授を中心に、笠次ゼミ生とそのOB、体育会会長、学生支援課が連携して企画・運営しました。当日は、体育会23クラブから計45名の学生が参加し、スタッフとして学生9名、OB2名、大学職員1名が関わりました。
研修は午後1時から4時10分までの3時間にわたり実施され、講義と演習を組み合わせた実践的なプログラムが展開されました。講義では、熱中症の予防と初期対応に関する基礎知識を約50分間で学び、その後、各クラブの活動場所に応じたEAP(緊急時対応計画)の作成や、搬送・アイスタオル法のシミュレーショントレーニングが行われました。
研修会後アンケートで参加者の声を拾いあげたところ、特に印象的だったのは、搬送訓練において「人は想像以上に重く、搬送には多くの人手が必要」「声かけや配慮が大切」「冷静な指揮官の存在が重要」といった、実際の現場を想定した学びを学生が数多く得たことです。また、「アイスタオル法が実際の学校現場で用いるには簡便かつ最も効果的であること」「熱中症は命に関わる危険な症状であること」「暑熱順化や睡眠・食事など日常生活からの備えが重要であること」など、予防と対応の両面にわたる理解が深まりました。
参加者からは、「実技があることで知識が定着した」「熱中症に対する認識が大きく変わった」「部活動に活かしていきたい」などの声が多く寄せられました。中には「高校でも受けたが、ここまで実践的な内容は初めて」「将来教員として役立つ学びだった」といった将来展望を持った感想も見られました。
本研修を通じて、学生たちは「誰かを守る側の意識」を持ち、実際の場面で冷静に対応できる力を養いました。今後も本学では、スポーツ活動を安全に継続するための教育機会として、このような実践的な研修を継続的に実施してまいります。