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①鑑賞教育の実践の充実と理論構築
「生涯にわたって書を愛好する」心情や態度は、見る楽しさや豊かさを共有することによって養うことができます。書道専攻生であれば、筆を執る楽しさも見る楽しさも知っています。筆を持たない人たちへのメッセージを届けることができるようにすることは、書道教育分野における今後の課題です。味わう力・観察する力・伝える力、などの実践力とともに、教育普及に向けてはその理論構築が責務です。フィールドワークを充実させ、理論研究を進めていきます。
②和様の形成についての芸術学的考察
中古から中世にかけての書における感性的価値をどのように捉えるか、研究方法の問題を含めて検討し、「和様」と称されている具体的内容を考えていきます。この課題は、自身の中・長期研究課題であると同時に、大学教育に直結する教科内容の研究課題でもあります。
③地域に根ざす教育・研究の実践
筆や墨の生産と伝承、文字の生育と書道の発展、これらは通常、教科書を通して学びます。しかし奈良には、書の文化をじかに学び、伝えることのできる恵まれた環境があります。じかに触れる体験を通して立体的に身に付けた学びは、当人のその後の学びの原型になると予測します。このことは、生まれ育った奈良の地をしばらく離れたことによって私自身より強く意識されるようになりました。文化財や伝統工芸などに触れながら学ぶことは、地域に根差した教育が充実することに加え、異なる環境下での体験的学びを継続させていく原動力になります。「奈良学」の伸展を企図し、新しい学びのネットワーク形成につながるよう、教員養成・リカレント教育の実践を手がけています。
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