平成28年度奈良教育大学入学式 学長告辞 - 奈良教育大学

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平成28年度奈良教育大学入学式 学長告辞

 満開の桜が皆さんのこの奈良教育大学での新しい「学び」の始まりを祝福してくれています。本日ここに柳澤元学長先生、長友前学長先生をはじめ、名誉教授の先生方、後援会・同窓会の会長様のご臨席のもと、多数のご家族、並びに関係者の皆様にご参加いただき、奈良教育大学平成28年度入学式を挙行できますことは、奈良教育大学教職員の大きな喜びであります。
 まず、はじめに、本日、入学の皆さんに、心より祝福の言葉を贈りたいと思います。
 「皆さん、奈良教育大学へのご入学、おめでとうございます。」
 また、ご家族や関係者の皆様にもお祝い申し上げますとともに、多数ご出席いただきましたことに感謝申し上げます。
 「ありがとうございます。」

 本年度は、
   教育学部 学校教育教員養成課程   267名
   大学院教育学研究科 修士課程     46名
   大学院教育学研究科 専門職学位課程  31名
 合計344名の新入学生を迎えることができました。


 本学教職員を代表して、皆さんの入学を心から祝福し歓迎いたしますとともに、皆さんの「学び」と研究に対する指導助言、大学生活に関する支援について最大限の努力をお約束いたします。
 皆さんが本日の入学式を迎えることができましたのは、それぞれが小学校、中学校、高等学校と「学び」を積みあげてきた成果、ゴールでもあります。
 坂道を重い荷を背負って登るような思いをした日もあったと思います。頑張っても、思うように成果が見えてこなかった日があったかもしれません。入学試験の「合格」を知った時は、まさに「勝ちとった」、「やった」という気分に、思う存分ひたることができたのではないでしょうか。その思いを大切にして歩んで行ってください。

 いよいよ本日から、大学生、大学院生としての「学び」がスタートします。では、本日からの「学び」はこれまでの「学び」とどのように違うのでしょうか。大学1年生は高校での「学び」の延長、つまり、高校4年生ということでしょうか。
 このことの答えはひとりひとり違って良いと思います。それが大学での「学び」の本質であります。答えはひとつではないあるいは答えは見つからないこともある。答えはあるはずだがまだ見つからない。しかし見つかるまで探究する。
 これが大学での「学び」の本質であります。
 今日からは自分の考えをもつように心がけてください。また、自分とは違う考えにしっかりと耳を傾けてください。
 これにはふたつのお勧めの方法があります。ひとつ目は本を読むことです。図書館の本を活用してください。ふたつ目は友人と「なるほど、そうかもしれない。」、「いや、私はこう考える。」と議論をすることです。
 このふたつのお勧めを同時に行う方法が奈良教育大学にはあります。是非、図書館のラーニングコモンズという空間を活用してください。仲間との議論が「創造」につながる空間です。

 次に、大学での「学び」について、一度、考えて欲しいことがあります。学んだことの成果は何で決まるかということです。皆さんの高等学校までの「学び」の成果は本日の入学式につながりました。試験で良い点数をとることを通じての結果です。私達は「学ぶ」ことで知識を増やします。例えば、エネルギー問題について学べば再生エネルギーや温暖化についての知識が増えていきます。
 しかし、これで十分でしょうか。
 本学の正門には奈良教育大学の大きな銘板がついていますが、その下に国際連合の「ユネスコスクール」の銘板もついています。是非、一度、正門に行って見てみてください。日本の大学で国連のユネスコスクールとして認められた大学は5つしかありません。日本で最初に国連・ユネスコスクールになった大学が奈良教育大学です。
 国連ユネスコは、ESD(Education for Sustainable Development)、「持続可能な開発のための教育」を推進しています。この地球で人類が平和で文化的な暮らしを営んでいくための教育です。
 その考え方は、学習指導要領に取り入れられ、小学校や中学校に導入されています。本学は大学、附属中学校、附属小学校がユネスコスクールです。
 そのESDの「学び」には、ひとつの大きな特徴があります。「学び」は、学んだ者の「行動の変革」につながらねばならないという考え方です。
 エネルギー問題について学んだのであれば、単にその知識が増えるだけではなく、しっかりと使わない部屋の電気は消すことができるという「行動」が伴わなければならないという考え方です。「学び」の目的は、知識が増えること以上に、学ぶ者の「行動の変革」にあるという考え方です。

 最後に、皆さんの多くは四年後あるいは二年後に教員になって教壇に立ち、児童・生徒を教えることを目指しているかと思います。本日からの「学び」は、その目的を達成させるための「学び」だと言うことです。
 つまり、「教えるために学ぶ」という「学び」であります。自分自身が教える内容について理解できていれば良いというだけではありません。練習問題が解ければそれで良いという「学び」ではありません。教える内容についての自分自身の理解の上に立って、それを教えることができる力、教育実践力を自分のものにするために学ぶ、という「学び」であります。
 本日からの大学での「学び」には、「誰かに何かを教えるために学ぶ」、「教育のために学ぶ」という特徴があります。
 二年後、四年後の4月を想像してみてください。きっと、桜が今年と同じように咲き誇るこの4月を想像してみてください。
 その日、満開の桜が迎えるのは小学校や中学校に入学してくる児童・生徒達です。そして、皆さんは今日とは違って、今日の立ち位置の反対側、つまり、満開の桜と同じ側に立って、満開の桜と一緒に、入学してくる児童・生徒達を迎えるのだと思います。このパラダイムシフトが本学での「学び」そのものだと考えます。
 この日本の教育の未来が皆さんの本学での「学び」にかかっています。答えはひとつではありません。各人がそれぞれの答えを追求してください。そして、全員がこの社会の未来、教育のことを真剣に考え、真摯に学ぶ二年間、四年間にしてください。

 「ようこそ、教育の大学へ。」
 「ようこそ、奈良教育大学へ。」
 本学教職員全員が、皆さんの「学び」を全力で支援します。一緒に学びましょう。皆さんの奈良教育大学での「学び」が、豊かで、充実したものになることを信じて、告辞といたします。

平成28年4月4日  奈良教育大学長  加藤 久雄

お問い合わせ先
奈良教育大学 総務課
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