平成31年度奈良教育大学入学式 学長告辞 - 奈良教育大学

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平成31年度奈良教育大学入学式 学長告辞

 

本日ここに柳澤元学長先生をはじめ、後援会、同窓会の会長様、副会長様のご臨席のもと、奈良教育大学 平成31年度入学式を挙行できますことは、奈良教育大学 教職員全員の大きな喜びであります。教育学部 学校教育教員養成課程 271名、大学院教育学研究科 修士課程 32名、大学院教育学研究科 専門職学位課程 20名、学部と大学院を合わせ、326名の新入生を、本日、ここに迎えることができました。皆さんの入学を心より歓迎いたしますとともに、祝福の言葉を贈りたいと思います。皆さん、奈良教育大学へのご入学おめでとうございます。また、ご家族や関係者の皆様にも心よりお祝い申しあげますとともに、本日、多数のご出席をいただきましたことに、厚く御礼申しあげます。

さて、本学は、「奈良教育大学」のその名の通り、教育について学ぶ大学、教育について研究する大学であります。みなさんは、4年後、大学院の方は、2年後、教師になること、教員になって、園児や児童・生徒に、授業を通じて教える立場になっていることを目指して、本日、この大学の問をくぐったのだと思います。教師という仕事が、いかにやりがいのある仕事であるか、また、教育ということが、人間社会においていかに重要であるかは、みなさん、既に、良く知っていることかと思います。あの時、あの先生に、出会わなければ、今の自分はない、といったエピソードは、みなさんも、いくつも聞いて知っているかと思います。また、みなさん自身の経験の中にもあるのかもしれません。また、そのことが、教師の道を選択させたという方もおられるかと思います。教師という仕事は、それほど、実に素晴らしい仕事だと思います。

ヘレンケラーを皆さんは知っているかと思いますが、日本には3度来ています。75歳、3度目の来日の時には、奈良にも来られています。奈良のホテルに逗留され、東大寺の大仏にも行っています。ヘレンケラーは、その映画や演劇のタイトルともなった「奇跡の人」というフレーズからも、重い障害を乗り越えた「奇跡の人」だと、とらえられることが多いかと思います。しかし、映画や演劇の「奇跡の人」の原題は、「the Miracle Worker」というものです。原題は「the Miracle Worker」というタイトルなのです。「奇跡のWorker」「奇跡の働き手」というのが原題です。つまり、「奇跡の人」は、ヘレンケラーに奇跡をもたらした家庭教師のアン・サリバン、サリバン先生のことなのです。まさにヘレンケラーの人生を変えた奇跡の人、サリバン先生こそが、奇跡の人であるわけです。

このような先生との出会いが、みなさんにもあったかもしれません、皆さんが本日の入学式を迎えることができましたのは、多くの先生から教えを受け、そして、皆さんひとりひとりがそれぞれ、小学校、中学校、高等学校と、自らの「学び」を積みあげてこられた成果であり、ゴールであります。

では、今日から始まる大学での学びは、その学びの延長かというと、少しばかり考えさせられるところがあります。確かに、これからの大学生活においても、多くの先生から指導を受け、学び続けていくわけですが、教師を目指すみなさんの学びの到達点は、誰かの学びを導く、つまり、誰かに何かを教えるということにあるわけで、そこには、学ぶということから教えるということへの転換、逆転があるわけです。これこそが、「教育大学」に学ぶみなさんに求められていることであります。

難しい数学の問題がすらすら解ける人は、その問題の解き方を生徒に分かりやすく教えることができる人ということには、必ずしもならないわけです。みなさんは、学ぶ自分から、学びを教える自分への転換を、この4年間、あるいは2年間の学びの後に、果たさなければなりません。教えられ・学ぶ立場から、教え・学ばせる立場への転換、パラダイムシフトが、そこには存在します。そして、そこには、教師としての責任が生じます。学ぶ自分から、教えることを意識して学ぶ自分、そして、その学びの上に立って、教える自分。教える自分が教えることを意識してさらに学び続ける。この連続が、みなさんに求められているわけです。

その時、忘れてはならないのは、「もしかしたら、あなたのいうように、そうなのかもしれないな」「もしかしたら、今、自分が考えていることは、間違っているかもしれない」と思う クリティカル シンキングであります。自分とは違う意見や考えを受けとめる姿勢であります。この姿勢を貫くのは、大変、勇気のいることです、そして、その勇気は、広い心、優しい心の持ち主の勇気でなければなりません。

今年の一月、私は、宮中で行われた歌会始の儀に、招いていただきました。モーニングを着て、皇居に参内したわけです。そして、今年、選ばれた歌の中で、一番若い、山梨県の高校1年生、加賀爪あみさんの歌から、その勇気とはなにかの答えをもらいました。今年のお題は「光」です。「光」を歌の中に織り込まねばなりません。では、加賀爪さんの歌を詠んでみます。

ペンライトの光の海に飛び込んで 私は波の一つのしぶき

幕張メッセで行われたゲームのキャラクターによるライブコンサートを、地元山梨の映画館で行われたパブリックビューイングで体験した際の歌とのことです。「ペンライトの光の海に飛び込んで 私は波の一つのしぶき」。すばらしい歌だと思いませんか。どこが素敵なのか。「ペンライトの光の海に囲まれて 私は波の一つのしぶき」ではなく、「ペンライトの光の海に飛び込んで 私は波の一つのしぶき」であり、そこには、「飛び込む勇気」と飛び込んでも「波の一つとして存在する私」の二つがあり、両者が私の心に迫ってきます。

どうか、相手を理解しようとする優しい気持ちをもって、「飛び込んでいく」「相手の考えにも飛び込んでいく」「でも自分を見失わない」、そんな勇気と優しい心を大切にして、大学生活を突き進んで行ってください。

ようこそ、教育の大学へ。 ようこそ、奈良教育大学へ。

本学教職員全員が、皆さんの「学び」を全力で支援します。一緒に「学び続ける教員」を目指し学びましょう。皆さんの奈良教育大学での「学び」が、豊かで充実したものになること、4年後、2年後、全員が教員の道を歩んでいることを確信して、告辞といたします。

平成31年4月3日  奈良教育大学長   加藤 久雄

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