新年のご挨拶(1月4日) - 奈良教育大学

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新年のご挨拶

 

 奈良教育大学教職員の皆様、新年あけましておめでとうございます。

 私が本学に赴任して、はじめて迎えた新年はちょうど2000年(平成12年)でした。今から23年前です。その時は、「賀詞交換会」として大会議室に教職員が集い、学長のあいさつの後、ビールで乾杯し、オードブルをつまみ、新年を皆で祝ったことを覚えております。
 数年後、そこからオードブルがなくなり、ビールから桜茶へと変わり、やがて桜茶もなくなり、近年では「仕事始め式」と名称を変え、学長の挨拶だけとなってしまいました。また、コロナになってから、加藤前学長は皆さんに集まっていただくことをお控えになり、掲示板にごあいさつ文を掲載しておられました。

 わずか20年のことですが、時代も変わり、社会も変わり、大学の職場風土としては、「遊び」がなくなってしまったことは残念なことだと思っています。職場での「遊び」とは、いうまでもなく「勤務時間中に遊ぶ」ということではなく、「ハンドルの遊び」や「ブレーキの遊び」の類です。「ゆとり」とも言うべき、この「遊び」なくして、豊かな発想を生んだり、新たなものを創り出したりしていくような仕事はなかなか難しいことだと、これは、音楽を学んできた者として、私は強く感じているところです。

 学生に、教師を志した動機を問うと、「小中学校での先生との出会い」を多く挙げます。「あんな先生に、私もなりたい」といった、夢と理想の像を描き、またその具体を実際に見たり、知ったり、経験したりすることが、その後の人生を決めることはよくあることです。
 教師を目指す本学学生に、創造性や、柔軟なコミュニケーション能力、感動体験等を求める教育課程や教員就職支援を展開しようとする中で、学生にとって、今まさに日々出会っている先生、つまり、私たち本学教員自身が創造性に富み、柔軟なコミュニケーション能力で同僚や学生らと対峙し、研究活動、そして「人に教える」ということを楽しんでいる姿こそ、教員養成教育や教員就職支援における一番強力な教材になるのでは、と思います。
 異分野・異領域への関心や刺激、国際交流、ESDやSDGs達成への取組、など、大学としても様々な取組を打ち出していきますが、先生方ご自身のそれらに対する活動に、どうか学生を誘っていただきたく、お願いいたします。

 さて、私自身、この年末年始、「仕事とは何か」をあらためて考える時間がありました。「人に尽くす」とはどういうことか、「使命感というものはどこから湧いてくるのか」等々です。
 本学のみならず、また本機構のみならず、国立大学は、常に新機軸を打ち出し、改革への挑戦をし続けなければなりません。しかし、これは決して「改革のための改革」ではなく、質の高い教育・研究を実施し、国民、納税者の期待に応えていくために、「しなければならない改革」であることに他なりません。
 歩みを少しでも止めたなら、たちまち時代の流れに取り残されてしまうのではないか、という恐れや不安をいつも感じています。これは、なにも国立大学だけでの話ではなく、中小企業をも含む民間企業、官公庁、すべてがそうであることは、年末に結成された「産地学官連携プラットフォーム設立に関する懇談会」に集った様々な分野の方々の話からも、あらためてうかがい知ることができました。「今の時代の流れ」とはそういうものかと実感し、子どもの頃、大相撲解説で玉ノ海梅吉が言っていた、「稽古とは、下りのエスカレーターを重い荷物を背負って昇っていくようなものだ」との言葉を思い出しました。 

 今年もまた、教職員の皆様には、下りのエスカレーターを昇っていただかなければならないこともあろうかと思います。しかし、学長としては、「せっかく働くなら楽しくやろう」という気持ちになっていただけるよう、未来の奈良教を創るワクワク感を感じていただけるような、仕組みやアイデアを出していきたいと思います。
 未来を語り、未来を創っていくことは、苦しいけれども、やりがいのある楽しい時間ではないかと思います。現に、昨年末、何人かの先生方や、事務職員から、「こんなことをやってみたい」という意見や、すでに行動を起こしているプランを聞くことができました。いずれも、「未来の奈良教を創る」ものであり、とても嬉しく、実現に向けて、是非応援したいと思ったところです。

 「未来の奈良教を創る」今年の営みとして予定されていることは他にも多くあります。一つ一つはここでは述べませんが、附属の先生方、全教職員とともに、明るく、楽しく、取り組んでいきたいと思います。新型コロナウイルスへの対応も、最終ステージとなってほしい、という期待も込めて、引き続き手を打って参りたいと思います。

 皆様、お一人お一人が、健康で、生き生きとご活躍されることを願い、新年のご挨拶といたします。

令和5年1月4日

奈良教育大学学長 宮下俊也