令和3年度入学式を開催しました 公開日  :  2021-04-05 20:30

新着情報

 4月5日(月)、奈良教育大学 教育学部及び大学院教育学研究科入学式を開催いたしました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、講堂での式典は入学生のみの参加とし、YouTubeにて式典の模様をライブ配信いたしました。

 教育学部272名、大学院教育学研究科49名(修士課程28名・専門職学位課程21名)の新入生を迎えました。

【入学生】
 教育学部272名 大学院教育学研究科49名(修士課程28名・専門職学位課程21名)

 在学生総代   学生自治会 執行委員長    林 祐希
 学歌演奏者   独唱  心理学専修4回生    鍬 颯介
         ピアノ 音楽教育専修4回生   粟谷 美月

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       式典に参加する新入生             学長告辞

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        学歌演奏                  在学生歓迎の辞

学長告辞

 本日、ここに、奈良教育大学教育学部学校教育教員養成課程 272名の新入生を迎え、奈良教育大学 令和3年度入学式を挙行できますことは、奈良教育大学 教職員全員の大きな喜びであります。
皆さんのご入学を心より歓迎いたしますとともに、祝福の言葉を贈りたいと思います。「皆さん、奈良教育大学へのご入学おめでとうございます。」また、ご家族や関係者の皆様にも心よりお祝い申しあげます。

 さて、「奈良教育大学」は、その名が示す通り、教育について学び、教育について探究し、実践する大学であります。みなさんは、4年後、教師になって、園児や児童・生徒の前に立ち、教える立場になることを目指して、本日、この大学の門をくぐったのだと思います。
 幼稚園、小学校、中学校、高等学校と学び続けてきたみなさんが、今度は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の先生として教える立場になっていく。学ぶ立場・教えられる立場から、教える立場へと、立ち位置が逆転していく。この4年間はそのための準備の4年間であるわけです。

 しかし、このことは、橋を渡り、国境を越え、大きな河の対岸に立つことではありません。なぜならば、教えることは、教えるものが学び続けることによって、成り立つからです。教える内容について自らが十分理解し、また、どのタイミングで、何を、どのように教え、理解させ、どのような力を身につけさせればよいのか。また、子ども達は、今、何を考えているのか、どのように寄り添えば良いのか、教師は常に学び続けなければなりません。
 教育大学という新たな地平に立ったみなさんが、今日から始める学びは、一生、学び続ける学びなのであります。ひとりひとりが、一生、学び続け、探究しようとする自らのテーマを、見つけてください。

 では、「学び続ける」「探究する」ということにおいて、重要なことは何でしょうか。何よりも重要なのは、「探究するなかま」、「なかま」がいるということです。それは、時には、同じ専修の仲間であり、授業でのクラス、発表や制作のグループであり、クラブやサークルの仲間であります。そして、さらに重要なのは、それらの仲間同士で、忌憚のない議論をし、意見を交わし、切磋琢磨しあうことであります。なぜならば、より良い考え、発想、結論は、仲間同士の多様性を認め合う議論から生まれるからです。
 みなさんの入学と同時に、奈良教育大学は、「ダイバーシティ・インクルージョン推進宣言」を行いました。「多様性」を認め合い、尊重し合うことを何よりも大切にしてください。HPにも掲載されています「ダイバーシティ・インクルージョン推進宣言」を、是非一度、じっくりと読んでみてください。その宣言は、以下の文章で始まります。

『奈良教育大学は、「奈良教育大学の3つの柱」として、「人・環境・文化遺産との対話を通した教育の追究」「持続可能な社会づくりに貢献できる教員の養成」「教員養成と教員研修の融合」を掲げています。とりわけ、本学は附属学校園を含めてユネスコスクールに認定されており、環境、文化、平和、人権等、「持続可能な開発のための教育」(ESD)に関わるさまざまな取組を展開し、教育の面からSDGsの達成を目指しています。』

 さて、この宣言は、学生諸君も参加し、議論を重ね、全学で創りあげたものですが、この冒頭には、奈良教育大学のみならず、今日の教育を考える上で、欠かすことのできない三つの重要な要素、が含まれています。それは、「ユネスコスクール」「持続可能な開発のための教育(ESD)」「SDGs」の三つであります。

 「ユネスコスクール」というのは、ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、国際的な連携を実践する学校であり、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって、国際基準で認定されています。日本の大学でユネスコスクールに認定されているのは、5大学のみ。その第一号が、奈良教育大学です。2007年のことです。そのユネスコ憲章は、教育について「人類が果たさなければならない神聖な義務である。」と謳っています。

 「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)は、その国連ユネスコが、2002年から、進めた教育で、気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大など、人類が直面している課題を解決し、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。そのことを国連に提案したのは日本であります。

 そして、「SDGs」。持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標で、17のゴール・169のターゲットから構成されています。その達成については、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

 ◎奈良教育大学は、日本で最初に国連ユネスコによって認定されたユネスコスクールであること。

 ◎ユネスコ憲章が言うように「教育は人類にとって神聖な義務であること」。

 ◎持続可能な地球をつくるための教育(ESD)は、ユネスコスクールが推進してきたこと。

 ◎SDGsが示す具体的な目標の達成をESDが教育で牽引していくこと。

さらには、初等教育および中等教育における教育課程の基準となる学習指導要領が、持続可能な社会の創り手の育成を教育の目的と位置づけたこと。これらのことをふまえた上で、昨年からのコロナ渦をどのようにして乗り越えていくかを考える時、奈良教育大学に集う我々は、人類史上、最も教育の重要性を認識しなければならないフェーズに突入したと言わざるを得ません。

 ようこそ、教育の大学へ。

 ようこそ、奈良教育大学へ。

 本学教職員全員が、皆さんの「学び」を全力で支援します。皆さんの奈良教育大学での「学び」が、豊かで充実したものになること、持続可能な社会づくりを教育で牽引する道を歩んでいかれることを確信して、告辞といたします。

令和3年4月5日
奈良教育大学長 加藤 久雄

在学生歓迎の辞

 暖かな日差しが降り注ぎ、花の色も美しい季節となって参りました。この奈良教育大学にご入学された新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。在学生を代表して心よりお祝い申し上げます。

 さて、皆さんは、この奈良教育大学にどのような思い出入学されたでしょうか。先生になりたいという気持ちを追った方も多くおられると思います。
 今、私は「先生」と申し上げました。しかし、この大学に真面目に通ってとれるのは、「教員免許」であり、「先生免許」ではありません。実は「先生」というのは、「様」をこえる敬称なのです。子どもたちは何気なく呼びますが、本当の意味で「先生」と思ってもらえるような人になるのはなかなか難しいことでしょう。理想の「先生」増は人によってそれぞれでしょうが、私の思う「先生」への近道を申し上げましょう。それは様々な経験をすることです。種々の本を読み、多様な人の話を聞いて、いろいろな体験をしてください。大学生活と言えば、自分の好きな勉強に自治会活動、部活やアルバイト、ボランティア活動に外国の方との交流など、様々な自主的な活動のできる時間です。皆さんの受験生時代は、新型コロナウイルスの蔓延や試験形式の変化により、先行きの見えない不安も大きかったでしょう。けれど、様々なことに触れて治験を広めることが、何が起こるかわからない時代において、いつか自分のことを助けてくれるのだと思います。

 知見を広めると言うことは、皆さんの見える世界を広げるということに直結します。
 皆さんはぜひ、専修の、学年の垣根を越えて、様々な人と関わってください。その中で初めて見える世界に出会うことが亜あるでしょう。見える世界が広がれば、伝えられる世界も、伝えたい世界も格段に増えていくことでしょう。今まで見てきた世界と比べることで気づくこともあるはずです。皆さんがそうして学んだことは、いつか皆さんが教壇に立ったとき、社会に出たとき、活きてくるはずです。

 皆さんはこれから多くの出会いに恵まれると思います。どうかその中でたくさんの学びを得てください。何か困ったことなどありましたらいつでも私たち上回生を頼ってください。喜んでお手伝いいたします。

 それでは、新入生の皆さんの大学生活が充実したものとなることを祈り、歓迎の辞とさせていただきます。

 令和3年4月5日
在学生総代 学生自治会執行委員長 林 祐希